素のまま恋


「え、あ、はい。なんでしょう」

「よろしければ、連絡先を教えていただいても?」

「えっ」


イヤですけど?

って言ってもいいだろうか。
しかもなぜ貴公子はそんな笑顔なのかわからない。さっき会ったばかりだと言うのに。


「あらそうね、同じ学校なんだし、これから何かとお話する機会も増えるだろうから」

「そうしなさいな、詩姫」


……うそでしょ?

同じ学校?同級生の中で見かけたことはないから、年上?それとも年下?
学ランなんて、どこのも同じように見えるから分からなかった。それに着崩してたのもあって余計に。

でも大人二人に微笑まれ、空気的にも断るわけにいかず、私は笑顔で帯にひそませていたスマホを取り出した。

また私たちの話をしだすお二方の横で、渋々連絡先の交換をする。
勿論、表向き笑って見せながら。


「……ありがとうございます。僕のことは椿冴と呼んでください」

「は、はぁい……」


僕?さっき俺じゃなかった?
あ、だめだ。すごいひきつってる私の顔。作り笑顔もいいとこ。


「じゃ、気軽に連絡してくださいね」

「ええ、わかりました」


勿論しない。
貴公子は私に爽やかな笑顔を向けて一礼するから、作り笑顔で私も一礼した。


「それでは女将、失礼しますね」

「はい、お気をつけて」


一緒に見送れば、すぐさましまったスマホが震え、私は小走りに壁に隠れメッセージをチェックした。



【バーカ】



「なっ……!」



あんの貴公子!最悪だ──!!