「その調子で頼むぜ?……つっても、やっぱ卒業されると寂しいもんは寂しいな。俺も一年後卒業だけどよ」
「い、一年なんて、あっという間に終わってるもんよ」
「いつもなら、な。……でも卒業して一足早く大人に仲間入りするようで……なんとなくお前が遠くなる気がする」
「……そんなことないと思う。けど、頑張るよ私」
卒業もそうだけど、やっぱり貴公子……椿冴のおかげもあって、より頑張らなきゃって気持ちはレベルアップしてると思う。
「ああ……待ってろ。ちゃんと追い付く。お前も修行して、俺も鼓の名を落とさずに継ぐ。……華道家としても、男としても一人前になってやる。だから……女将修行もだけど、何年後かのために花嫁修行もしておけよ、詩姫?」
「……っ!!お、お、おうよ……。でも、こんな次期女将に……愛想つかさない?もっと可愛くて優しくておしとやかで……花のことが分かる子がいるかもよ?」
「バーカ、毎日好きが増してるっつの。それに俺の中の可愛いはお前だけが属してんだから気にすんな。お前こそ、俺に好かれすぎていやになったりすんなよ?」
「し、しないやいっ」
「……んじゃ、ほい」
うっすらと笑みを浮かべた貴公子は私の前にゆっくりと小指を立てる。
「俺たちは俺たちらしく、これからもずっと一緒にいる……これ、約束な。お前がいてくれれば、コンテストだってなんだって俺は頑張れるから」
「……うん」
なにもためらうことなくその指に自身の小指を合わせ、
私たちは、未来に向けた約束をした。
fin───◆◆◆



