素のまま恋



約束をしたところで、貴公子は再びヘルメットに手を伸ばすも、


「そんじゃ帰るか……と思ったけど、お前だけにご褒美ってよくよく考えると不公平だな」

「不公平?」


やめて顎に手をあてた。


「そうだろ?俺の厳しくも優しい指導のおかげで、成績が右肩上がりになってんだから。俺にもあっていいはずじゃんかよ」

「あー言われてみるとそうだなぁ……でも私が貴公子に買ってあげられるものなんて──っわ、ちょっと!?」


軽々と持ち上げられ、私はバイクに座らせられた。


「別に何も、物を買えとか、どこか連れてけなんて言わねぇよ」

「じゃあ──」


何?そう聞く前に、貴公子の顔が目の前に迫り、口の端に柔らかな感触があった。

それはゆっくりと離れていって、数秒思考停止してしまうも、なんとか自分を引き戻す。


「……ご、強引!!」

「おう、強引で結構。でもギリギリ外したけどな?公共の場だし。どこぞに記者が潜んでるか……なに、口にして欲しかったとか?」


私の口をトントン、とタッチする貴公子。


「ちがっ……!さ、最初の時から思ってたけどっ、一応年上の私に対して遠慮というものがないんじゃないの!?」

「じゃあその、遠慮を知らない年下くんに赤くなってるのはどこの誰だ?饒舌になってるぜ?」

「……っ!」


顔を近付けられると、反射的に背筋が伸び早口になる。もう顔の赤さは隠しようがないから諦めているけれど。