「お前は……俺のこと嫌いか?」
「き、嫌いではない、けど……」
「けど?」
強いていうなら──
「ちょっと、見た目がチャラい……とは思います」
一緒にいて、旅館の誰かが『お嬢さんが不良といた』なんて言われて、勘違いされるのは嫌だから。
一、二個、もう少し控えめなアクセサリーにしてくれたら、それで──
そんなことを考えていたら、貴公子がピアスを川に放った。そのまま弧を描いて、音もなしに川へ消えたピアス。
「ちょ、なにしてんの!?」
「だって、お前が見た目がチャラいって俺のこと振るからだろ」
「ふっ……別に振ってない!」
全力で振ってないって言っているのに、今度は指輪を外し出した。
「おいっだから早まるなって!」
投げるモーションに入ろうとする貴公子にストップをかける。
「なにも捨てなくたっていいでしょ?それに全部を外せなんて言ってない」
「……外せば、多少チャラさは半減するだろうが」
それはそうかもしれないけど……。
「かといって捨てないでよ。もったいないでしょ?」
「だったらお前にこれやる。返事はこれ受け取るか受け取らないかで頼むわ」
貴公子は外した指輪を私に差し出す。
返事として──と言われ、貴公子のもう片方の指に同じデザインの指輪をしているのが目に止まった。
「俺のこと、まだ好きじゃなくても構わねぇから……」
差し出している手が、微かに震えていて、緊張しているのは私だけではないのだと感じた。
そうだよね……告白なんて、簡単に出来ないもの。当然だ。



