「ちょっと、千影!離してよ、シワになる!」
「やだ。起こし方が乱暴だったから、お仕置き」
千影は私の首筋に顔を埋め、フンフンとそこに息を吹きかけてくる。
大型犬が甘えているみたいで可愛いけれど、包み込まれるような圧迫感があってドキドキが止まらない。
「お仕置きって何よ、私は親切で起こしてあげたの!遅刻しても知らないんだからね!」
「いいよ、有給使うから。亜子も一緒に休もう?」
「休めるわけないでしょ!ほら、離して」
胸元をぐっと押して抵抗してみるけれど、やっぱり男の人の力には到底敵わない。
千影は顔を上げると、いたずらっぽく目を細めて私を見下ろした。
前髪の隙間から覗くその瞳は、さっきまで眠っていたとは思えないほど、熱を帯びて真っ直ぐに私を捉えている。
「じゃあ、大人しく解放されるための条件」
「……何?」
「キスして。それも、行ってきますの軽い奴じゃなくて、ちゃんと深いやつ」
「なっ……!?」
……うーん?
学生の時も、こんなこと言われたような……?

