私はふふっ、と意地悪な笑みを浮かべると、千影のTシャツの裾からそっと忍び込ませるように手を滑り込ませた。
狙うのは、昔から千影がどうしても耐えられない、脇腹のいちばん過敏なスポット。
容赦なくそこを指先でじわじわと刺激してあげる。
「っ……!?うわ、ちょ、亜子……っ、待て、やめろって……!」
完璧な命中だった。
千影の身体がシーツごと大きく跳ねる。
いつも会社では冷静沈着で隙がないと言われているらしいけれど、私の前で見せるこの涙目で悶える姿は、あの頃と少しも変わっていない。
「あはは!やっと目が覚めた?ほら、早くシャワー浴びてきな――」
言い終わるより早く、私の手首に熱いものが触れた。
「あ、」と思ったときには、視界がぐらりと反転していた。
千影の大きな手が私の手首を掴み、そのままベッドのシーツの上へと引きずり込まれたのだ。
「……捕まえた。朝から手荒な真似するね、亜子」
耳元で、低くてハスキーな声が響く。
いつの間にか千影の長い腕が私の腰をがっちりとホールドしていて、完全に身動きが取れなくなった。
Tシャツ越しに伝わってくる彼の体温に、一気に心臓がうるさくなる。

