【第68話】氷室視点
時計の針が17時30分を指し、定時を告げるチャイムが社内に鳴り響いた。
総務部のフロアを見ると、律さんは大急ぎで荷物をまとめ、逃げるようにエレベーターホールへと向かっている。
「白鳥さん、ごめん! 後の説明、明日でもいい!?」
「え? あ、うん、いいけど……」
驚く白鳥さんを置いて、俺はオフィスを飛び出し、階段をノンストップで駆け下りた。
ロビーを抜け、夕暮れの赤に染まる会社近くの交差点。人混みの中で、あの見慣れたサックスブルーのワンピースと、少し早足な後ろ姿を見つけた。
「律さん……っ!!」
後ろから叫びながら、俺はその華奢な肩をガシッと掴んだ。
振り返った律さんの目は、驚きで大きく見開かれ、そして眼鏡の奥の瞳には、今にも溢れ出しそうな涙が溜まっていた。
「……氷室、先輩……? なぜ、ここに……。業務外の接触は不可と判定したはずです、離して――」
「離すわけないだろ!! 何がアンドロイドだ、何がシステムバグだ! あんた、白鳥さんのこと見て、勝手に勘違いして、一人で傷ついて身を引こうとしてただろ!!」
夕闇の街の中で、俺の一途な咆哮が、彼女が必死に構築した鉄壁のファイアウォールを真っ向からぶち破るように響き渡った。
時計の針が17時30分を指し、定時を告げるチャイムが社内に鳴り響いた。
総務部のフロアを見ると、律さんは大急ぎで荷物をまとめ、逃げるようにエレベーターホールへと向かっている。
「白鳥さん、ごめん! 後の説明、明日でもいい!?」
「え? あ、うん、いいけど……」
驚く白鳥さんを置いて、俺はオフィスを飛び出し、階段をノンストップで駆け下りた。
ロビーを抜け、夕暮れの赤に染まる会社近くの交差点。人混みの中で、あの見慣れたサックスブルーのワンピースと、少し早足な後ろ姿を見つけた。
「律さん……っ!!」
後ろから叫びながら、俺はその華奢な肩をガシッと掴んだ。
振り返った律さんの目は、驚きで大きく見開かれ、そして眼鏡の奥の瞳には、今にも溢れ出しそうな涙が溜まっていた。
「……氷室、先輩……? なぜ、ここに……。業務外の接触は不可と判定したはずです、離して――」
「離すわけないだろ!! 何がアンドロイドだ、何がシステムバグだ! あんた、白鳥さんのこと見て、勝手に勘違いして、一人で傷ついて身を引こうとしてただろ!!」
夕闇の街の中で、俺の一途な咆哮が、彼女が必死に構築した鉄壁のファイアウォールを真っ向からぶち破るように響き渡った。



