【第53話】
映画のスクリーンでは、主人公の刑事がビルからド派手にダイブしていたが、私の脳内ではそれ以上の大爆発が起きていた。
(アホか! アホなんかこのチャラ男先輩は!!!)
(なんやねん『仕様書通りにいかないのが、本気の恋だから』って! そんなキザなセリフ、少女漫画の15巻目くらいでしか許されへんやつやぞ! ほんでこの手の握り方はなんや! 骨が軋むほど一途なホールド力で、私の右手の制御権(コントロール)が完全にハッキングされとるがな!!)
脳内のプロ漫才師が、舞台の上でメガホンを握りしめたまま「あかん、もうこのツッコミは照れ隠しにしかならへん……!」と、真っ赤になって座り込んでいた。
暗闇に紛れて、先輩の大きな手のひらから、ドクドクと力強い拍動が伝わってくる。チャラついた余裕の脈拍じゃない。先輩も、信じられないくらい緊張して、必死に私の手を握っているのだと、その熱量で分かってしまう。
「……っ」
私は正面を向いたまま、涙目になりそうな目を限界まで見開いた。
もう、標準語のポーカーフェイスを維持するためのプログラムは、完全にメモリ不足(オーバーフロー)で強制終了を繰り返している。
映画の終盤、2時間近くずっと繋がれっぱなしだった私の右手は、完全に先輩の体温と同調(シンクロ)させられていた。
映画のスクリーンでは、主人公の刑事がビルからド派手にダイブしていたが、私の脳内ではそれ以上の大爆発が起きていた。
(アホか! アホなんかこのチャラ男先輩は!!!)
(なんやねん『仕様書通りにいかないのが、本気の恋だから』って! そんなキザなセリフ、少女漫画の15巻目くらいでしか許されへんやつやぞ! ほんでこの手の握り方はなんや! 骨が軋むほど一途なホールド力で、私の右手の制御権(コントロール)が完全にハッキングされとるがな!!)
脳内のプロ漫才師が、舞台の上でメガホンを握りしめたまま「あかん、もうこのツッコミは照れ隠しにしかならへん……!」と、真っ赤になって座り込んでいた。
暗闇に紛れて、先輩の大きな手のひらから、ドクドクと力強い拍動が伝わってくる。チャラついた余裕の脈拍じゃない。先輩も、信じられないくらい緊張して、必死に私の手を握っているのだと、その熱量で分かってしまう。
「……っ」
私は正面を向いたまま、涙目になりそうな目を限界まで見開いた。
もう、標準語のポーカーフェイスを維持するためのプログラムは、完全にメモリ不足(オーバーフロー)で強制終了を繰り返している。
映画の終盤、2時間近くずっと繋がれっぱなしだった私の右手は、完全に先輩の体温と同調(シンクロ)させられていた。



