【第49話】
土曜日の朝、09時55分。
私は新宿駅の東口改札前、仕様書に指定されたポイントに、完璧に5分前行動で現着した。
本日の服装は、昨夜2時間かけて脳内ファッションチェックを繰り返した結果選ばれた、サックスブルーのシャツワンピースに白いカーディガン。普段の総務部仕様の戦闘服(スーツ)とは異なる、完全なるプライベート用フォーマットだ。
「神田さん!」
人混みを掻き分けるようにして、氷室先輩がこちらへ走ってきた。
その姿を見た瞬間、私の視覚センサーが一時的なフリーズを起こした。
白の無地Tシャツに、上質なネイビーのサマージャケットを羽織り、細身のチノパンを合わせている。髪は会社でのきっちりとしたスタイルとは違い、少し無造作にセットされていた。
(……なんやその爽やかさのインフレは!!!)
(ユナクロのCMかワレ! 爽やかすぎて周囲の背景にだけマイナスイオンのエフェクトかかっとるやないかい! チャラ男要素を完全に排除したイケメンは凶器やぞ!)
「……っ、凶器やぞチャラ男先輩!!!」
「ぶふっ……! おはよう神田さん。会った瞬間からキレのあるツッオコミありがとう。その服、すっごく似合ってる。綺麗だね」
先輩は人目を憚らず、私の顔を見つめてそう微笑んだ。
「……っ、先輩。午前10時ジャストからの過度な視覚的ハラスメントは、私のメンタルヘルスに重大なエラーを引き起こします。速やかに前方を向いて歩行を開始してください」
私は顔が沸騰していくのを感じながら、ロボットのように硬直した歩様で歩き出した。
土曜日の朝、09時55分。
私は新宿駅の東口改札前、仕様書に指定されたポイントに、完璧に5分前行動で現着した。
本日の服装は、昨夜2時間かけて脳内ファッションチェックを繰り返した結果選ばれた、サックスブルーのシャツワンピースに白いカーディガン。普段の総務部仕様の戦闘服(スーツ)とは異なる、完全なるプライベート用フォーマットだ。
「神田さん!」
人混みを掻き分けるようにして、氷室先輩がこちらへ走ってきた。
その姿を見た瞬間、私の視覚センサーが一時的なフリーズを起こした。
白の無地Tシャツに、上質なネイビーのサマージャケットを羽織り、細身のチノパンを合わせている。髪は会社でのきっちりとしたスタイルとは違い、少し無造作にセットされていた。
(……なんやその爽やかさのインフレは!!!)
(ユナクロのCMかワレ! 爽やかすぎて周囲の背景にだけマイナスイオンのエフェクトかかっとるやないかい! チャラ男要素を完全に排除したイケメンは凶器やぞ!)
「……っ、凶器やぞチャラ男先輩!!!」
「ぶふっ……! おはよう神田さん。会った瞬間からキレのあるツッオコミありがとう。その服、すっごく似合ってる。綺麗だね」
先輩は人目を憚らず、私の顔を見つめてそう微笑んだ。
「……っ、先輩。午前10時ジャストからの過度な視覚的ハラスメントは、私のメンタルヘルスに重大なエラーを引き起こします。速やかに前方を向いて歩行を開始してください」
私は顔が沸騰していくのを感じながら、ロボットのように硬直した歩様で歩き出した。



