アンドロイド総務部員(※心の中はエセ関西弁)は、一途なチャラ男の底なし沼から抜け出せない

【第43話】
「……いかがですか。総務部としての厳密な監査結果を申し上げますと、このパフェの出汁ジュレと抹茶アイスのシナジーは、我が国の和菓子界における法改正レベルの革命です」
私はスプーンを完璧な角度で保持したまま、至高の糖分を口へと運んだ。
美味い。美味すぎる。脳内お笑い組合のメンバーが全員でスタンディングオベーションを送るレベルで美味い。
「あはは、気に入ってもらえて良かった。神田さん、本当に美味しそうに食べるよね。見てるだけでこっちまで幸せになる」
氷室先輩はパフェにはほとんど手をつけず、頬杖をついて、それはそれは眩しい100万ボルトの笑顔で私を見つめている。
(直視できるかボケェ!!! なんやその聖母マリアみたいな慈愛に満ちた目は! こっちはただの糖分摂取マシーンや、いちいちエフェクトかけるなチャラ男先輩!)
「……先輩、その無駄に高い光度の視線は、私の網膜に深刻なブルーライト被害をもたらします。速やかにサングラスを――」
「あれ? お姉ちゃん?」
突如、私のシステムを根底から揺るがす声が、テラス席の入り口から響いた。
聞き覚えがありすぎるその声に、私の背筋が凍りつく。ゆっくりと首を回すと、そこにはトートバッグを肩にかけ、驚愕の表情でこちらを見つめる我が実妹――結衣の姿があった。
「結衣……!? なんであんたがここに……」
「いや、こっちのセリフなんだけど。お姉ちゃん、金曜の夜は引きこもって出汁巻き卵焼くルーティンじゃなかったの? ……っていうか、そっちの、ものすごいイケメンは誰」
結衣の視線が、私の隣に座る氷室先輩へとカチリとロックされた。
(終わった……!! 最大のセキュリティ事故発生や!!!)