【第38話】氷室視点
強烈な目眩のあと、俺が意識を取り戻したとき、世界は信じられないほどの熱量と、懐かしい「怒号」に包まれていた。
「……っ、何が『職務全う』や! 命削って仕事するなボケ! 会社の前に病院へコミットせんかい!!」
至近距離で、俺の両肩をガシッと掴んで支えてくれている神田さん。
眼鏡の奥の黒い瞳は、先週までの冷たいガラス玉なんかじゃなかった。かつてないほど激しく、怒りと、そして隠しきれない「本気の心配」でギラギラと輝いていた。
(あ……戻ってきた……)
心臓が、過労のせいではなく、圧倒的な歓喜でドクドクと跳ねた。
彼女の鉄壁の防壁が、俺の情けない限界突破によって木っ端微塵に吹き飛んでいる。耳たぶどころか、顔全体を真っ赤に染めながら、俺を必死に支えて怒鳴り散らしているその姿が、愛おしくてたまらなかった。
「神田さん……怒ってくれて、嬉しい……」
「嬉しがっとる場合かワレ!!! 今すぐ医務室へ搬送します! 拒否権はありません!!」
彼女はフゴフゴと鼻を荒くしながら、俺の身体を支えて歩き出した。
身体はボロボロで一歩も動けないはずなのに、彼女の体温と、その心地いいツッコミの振動が、俺の身体に奇跡みたいなエネルギーを注入していく。
「神田さん、俺、本当に一途だからさ……あんたがツッコミに戻ってくれるまで、死ねないと思って……」
「黙りなさい! 声帯のマイナスイオンが死滅しとるぞ! 喋るとリソースの無駄遣いです!」
強烈な目眩のあと、俺が意識を取り戻したとき、世界は信じられないほどの熱量と、懐かしい「怒号」に包まれていた。
「……っ、何が『職務全う』や! 命削って仕事するなボケ! 会社の前に病院へコミットせんかい!!」
至近距離で、俺の両肩をガシッと掴んで支えてくれている神田さん。
眼鏡の奥の黒い瞳は、先週までの冷たいガラス玉なんかじゃなかった。かつてないほど激しく、怒りと、そして隠しきれない「本気の心配」でギラギラと輝いていた。
(あ……戻ってきた……)
心臓が、過労のせいではなく、圧倒的な歓喜でドクドクと跳ねた。
彼女の鉄壁の防壁が、俺の情けない限界突破によって木っ端微塵に吹き飛んでいる。耳たぶどころか、顔全体を真っ赤に染めながら、俺を必死に支えて怒鳴り散らしているその姿が、愛おしくてたまらなかった。
「神田さん……怒ってくれて、嬉しい……」
「嬉しがっとる場合かワレ!!! 今すぐ医務室へ搬送します! 拒否権はありません!!」
彼女はフゴフゴと鼻を荒くしながら、俺の身体を支えて歩き出した。
身体はボロボロで一歩も動けないはずなのに、彼女の体温と、その心地いいツッコミの振動が、俺の身体に奇跡みたいなエネルギーを注入していく。
「神田さん、俺、本当に一途だからさ……あんたがツッコミに戻ってくれるまで、死ねないと思って……」
「黙りなさい! 声帯のマイナスイオンが死滅しとるぞ! 喋るとリソースの無駄遣いです!」



