アンドロイド総務部員(※心の中はエセ関西弁)は、一途なチャラ男の底なし沼から抜け出せない

【第37話】
「っ、ちょっと待ちィや!! 何が『徹夜した甲斐もあったよ』やボケナス!!! 自分の身体のキャパシティも管理できへん奴が、全社システムの管理なんかできるわけないやろ!!!」
静まり返った共有スペースに、鼓膜を破らんばかりの特大の声量で、あのドスの利いたエセ関西弁が轟き渡った。

第37話:センターマイクの帰還(律視点)
「っ、ちょっと待ちィや!! 何が『徹夜した甲斐もあったよ』やボケナス!!! 自分の身体のキャパシティも管理できへん奴が、全社システムの管理なんかできるわけないやろ!!!」
静まり返った共有スペースに、私のドスの利いたエセ関西弁が轟き渡った。
散らばった資料のことなんてどうでもいい。私の両腕のなかで、完全に白目を剥きかけているこの大型犬並みのイケメンを支えることで必死だった。
(休業届? 撤回じゃボケェ!!! 脳内お笑い組合、今この瞬間をもって総員強制出勤や!!!)
(実験? 暇つぶしのオモチャ? 知るかそんなもん! 目の前で今にも三途の川をバタフライで渡りそうなアホがおんのに、アンドロイドやっとる場合かワレ!)
「氷室先輩! 起きんかいコラ! ほんでなんやそのガサガサの肌は! 水分補給は缶コーヒーだけか! 血管の中にカフェインしか流れてへんのちゃうか!?」
私の怒号の集中砲火を浴びながら、氷室先輩は私の肩に頭を預けたまま、ゆっくりと瞬きをした。
その黒い瞳に、じわじわと光が戻ってくる。
「……あ、神田さん……?」
「神田さんじゃありません! 総務部の安全衛生管理者代行の神田です! 先輩の現在のステータスは『完全なるシステムダウン(過労)』につき、即刻強制シャットダウン措置へと移行します!」
私は完璧にブチギレながら、先輩の長い腕を自分の肩に回し、その重たい身体を必死に支えた。
周囲の他部署の社員たちが、見たこともない総務部アンドロイドの猛り狂う姿に「え、何……? 関西弁……?」と恐怖に慄いているが、今の私には1ミリも関係なかった。