【第26話】氷室視点
第26話:難攻不落への挑戦権(氷室視点)
月曜日の朝一番、俺は神田さんのデスクの前で、その徹底的な「拒絶」にシビれていた。
いつものキレのあるツッコミが返ってこない。それどころか、目線すら合わせてもらえない。声のトーンも、完全にマニュアルを読み上げているロボットのそれだ。
(なるほどね……。週末の間に、何か強力なセキュリティパッチでも当ててきたわけだ)
普通の男なら、ここまで冷たくされれば心が折れて引き下がるだろう。社内の他の女の子だって、俺がちょっと仕事モードで距離を置けば、不安そうな顔をする。
だけど、神田律は違う。
俺を遠ざけるために、全力で「完璧なアンドロイド」を演じている。その頑なな姿勢そのものが、彼女の心の中で俺の存在が「無視できないくらい大きくなっている」という何よりの証拠だ。
「わかった。じゃあ業務の話」
俺はデスクに資料を置き、彼女の横顔に視線を固定した。
「今週の金曜日、プロジェクトのフェーズ1完了の打ち上げがあるんだ。野村部長たちも来る公式なやつ。スケジュール、押さえといてね」
「承知いたしました。業務の一環として出席いたします」
相変わらず画面を見たままの冷たい返事。
「楽しみだなぁ。お酒が入った神田さんが、どんなシステムエラーを起こすのか。俺、一度気になったら徹底的に突き詰めるタイプだから」
俺が声を低くして耳元で囁くと、彼女のタイピングの手が一瞬だけ、ほんの1ミリだけ止まった。
第26話:難攻不落への挑戦権(氷室視点)
月曜日の朝一番、俺は神田さんのデスクの前で、その徹底的な「拒絶」にシビれていた。
いつものキレのあるツッコミが返ってこない。それどころか、目線すら合わせてもらえない。声のトーンも、完全にマニュアルを読み上げているロボットのそれだ。
(なるほどね……。週末の間に、何か強力なセキュリティパッチでも当ててきたわけだ)
普通の男なら、ここまで冷たくされれば心が折れて引き下がるだろう。社内の他の女の子だって、俺がちょっと仕事モードで距離を置けば、不安そうな顔をする。
だけど、神田律は違う。
俺を遠ざけるために、全力で「完璧なアンドロイド」を演じている。その頑なな姿勢そのものが、彼女の心の中で俺の存在が「無視できないくらい大きくなっている」という何よりの証拠だ。
「わかった。じゃあ業務の話」
俺はデスクに資料を置き、彼女の横顔に視線を固定した。
「今週の金曜日、プロジェクトのフェーズ1完了の打ち上げがあるんだ。野村部長たちも来る公式なやつ。スケジュール、押さえといてね」
「承知いたしました。業務の一環として出席いたします」
相変わらず画面を見たままの冷たい返事。
「楽しみだなぁ。お酒が入った神田さんが、どんなシステムエラーを起こすのか。俺、一度気になったら徹底的に突き詰めるタイプだから」
俺が声を低くして耳元で囁くと、彼女のタイピングの手が一瞬だけ、ほんの1ミリだけ止まった。



