好きになったのは大嫌いな先生



採血が終わって、健斗さんからの声かけには何も返事をする気にならなくて、全部無視してトボトボ病室に戻って布団に潜った。

大部屋で他にも患者さんがいるから迷惑にならないように、布団の中で声を殺して泣きじゃくった。

どれほど時間がたったか分からないけど、涙を止めることはできなくて。そんな時にいきなり布団の上から手が当てられた。

声も聞いてないけど、この手は誰だかわかる。
愁くんだ。

「聞いたよ?採血頑張ったんだって?」

「…グズっ」

「終わったんだから、いつまでも泣かないの。」

「……」

「あのさ、もう一つだけ検査頑張って欲しいんだけど。今日の検査はこれでおしまいだから。」

「……」

「骨髄検査。」

その言葉を聞いて、体がビクンッと跳ねる。
小学生の時に何度もやった検査。
すごく痛くてもう2度とやりたくない検査。

やりたくなくて、布団を剥がされないように力強く握りしめる。

「…その検査だけは…絶対にやりたくない」

布団の中から必死に訴えた。
けどそんなの通じるわけもない。

「ごめんな。俺もこの検査はしてもらわないと困る。」

その言葉と同時にベッドが動き出して、布団から出てこない私を見かねてベッドごと処置室に移動してることが分かった。