千影くんの甘えモードが過剰につき。




​「……合格。よくできました、亜子ちゃん」



​満足そうに微笑む千影くんの顔は、信じられないほど爽やかで、そして色っぽかった。


完全に彼のペースに飲まれている。



​「……千影くんのばか。もう知らない!」



​私は、真っ赤になっているだろう顔のまま、今度こそ千影くんの腕をすり抜けてベッドから飛び降りた。


背後から「あはは、ごめんって」という楽しそうな笑い声が聞こえる。


もう、本当に心臓に悪いんだから……!



​「亜子、待ってよ」



​なんとか準備を終えて家を出ると、後ろから千影くんが走って追いかけてきた。


いつもの綺麗な制服姿。


寝癖ひとつないサラサラの髪。


さっきまでベッドで私を困らせていた人と同一人物とは思えない。



​「……待たない。私、先に歩くもん」


​「まだ怒ってるの?可愛かったよ、さっきのキス」


​「うわぁぁ!外でそういうこと言わないで!」



​周囲に他の生徒がいないか慌てて見回す。


幸い、まだ時間が早いせいか、周囲に人影はまばらだった。


​千影くんはふっと笑うと、私の歩調に合わせて隣を歩き、自然な動作で私の左手を包み込んだ。