恋愛偏差値0.01。ー恋愛初心者溺愛されますー【完】

凪くんは唇だけを淡々と動かす。
「面倒?」
迅さんは、手を額に置いて瞼を伏せた。
「なんていうか」
「なに?」
「……女癖がくそ悪い」
「ああね」
迅さんの視線が私に向けられる。
「飽きたら捨てて、はい次ってタイプなんだけど」
迅さんは、私に視線を向けたまま話を続ける。
「美月ちゃんには、やたらと執着してるんだよね。ちなみに、今は颯にしては長く付き合っている彼女がいる」
迅さんは、凪くんが両手で抱えているレジ袋に手を伸ばす。
おにぎりをひとつ手に取り、フィルムを剥がす。
「……腹減った」
凪くんは無邪気に笑いながら、おにぎりを差し出してきた。
私は凪くんからおにぎりを受け取る。
「……おにぎり。ありがとうございます」
フィルムを剥がすと、おにぎりをかじる。
「……凪。水取って」
迅さんがそう言うと、袋を持って移動した凪くんはミネラルウォーターを差し出す。
「凪。お前もちゃんと食え。細すぎる」
迅さんは凪くんを心配そうに見た後に、私に視線をずらし唇を開く。
「……美月ちゃん」
その視線に一瞬ゾクリとした。
目が逸らせない。
「……はい」
「……凪に心配掛けないで」
凪くんの身体がピクリと跳ねた。
「美月は悪くないから!」
「……凪。悪いけど少し黙って。 凪がおかしい事くらい分かるから」
「……私が悪いんです」
迅さんは溜め息を漏らし、こちらに刺すような視線を向けた。
空気が凍り付く。
「……そういう所だよ。 じゃあ、具体的にどうするつもり?」
「……あんまり、美月をいじめないで」
凪くんの拳が震えた瞬間、迅さんが凪くんを抱き締めた。
そのまま、抱え込むようにしてベンチに座る。
「……まじ、黙れって」
「……美月が居なくなったら、どうしてくれるの!?」