恋愛偏差値0.01。ー恋愛初心者溺愛されますー【完】

「……俺、帰る」

颯さんはそれだけ言うと、どこかに行ってしまった。

カップに入ったかき氷は溶けて、緑色の液体になっている。

それを、一気にストローで吸い込んだ。

ぬるい甘さが口内に纏わりつく。

「……美月。帰ろうか」

「……はい」

凪くんは、それだけ言うと私の手からカップを取った。そのままゴミ箱に向かい、捨てる。

不安を感じていると、凪くんの手が差し出された。すぐに手を取ると、空を見上げる。

赤く染まっている、不気味な空に飲み込まれてしまいそうだ。

私達はマンションに向かい歩き出した。

「……美月」

「……はい」

「…………」

凪くんの声は、横を通った車のエンジン音で掻き消された。

「あの、今の聞こえなかったです」

風が吹いて、凪君の髪がふわりと揺れた。

「……今日、午前中何してたの?」

目の奥が笑っていない——

「……少し話をしてました」

凪くんの話で惚気ていたのを知られるのは、少し恥ずかしい。

「……そう。楽しかった?」

「……多分」

凪くんの話をしてる時は楽しかった。