恋愛偏差値0.01。ー恋愛初心者溺愛されますー【完】

「昨日は、花火をしたんだっけ。
凪くんの無邪気な表情を思い出したら、頬が緩む。
それ以上に思い出してしまうのは、颯と呼ばれていた男。
「……もう考えない」
自分の頬を強めに叩く。
颯を見たら胸がざわつく。
凪くんの部屋に向かい、扉を軽くノックした。数回繰り返すが反応はない。
「……凪くん。寝起き悪いし」
空は青く眩しい。
私は財布を手に取ると、マンションを後にした。近くにあるスーパーに向かうと、材料を買い込む。
帰り道に大変な事に気付く。
マンションは鍵が無いと中に入れない。
スマホも充電が切れている。
その上、管理人さんの姿も見当たらない。
エントランスに入れたら、どうにかなる。
涙目になりながら、人が来るのを待ち侘びた。
もう結構時間が過ぎているのに、誰も来ない。泣きそうになりながら、管理人室の前に座り込んだ。
それからどれくらい過ぎただろう。
エントランスに視線を向けるとソファーに座っている颯さん。
助けを願いながら視線を送ると、目が合った。
ゆっくりと自動ドアに向かい、歩いて来る。
助かった——
そう思った瞬間、颯さんの足がピタリと止まる。
「えっ……」
「……開けて欲しい?」
自動ドア越しにそんな声が聞こえて、言葉に詰まる。
「……あ、はい」
「雑談に付き合ってくれたら、開けてあげる」