恋愛偏差値0.01。ー恋愛初心者溺愛されますー【完】

落書きの前に向かうと、黒板消しを手に取った。
すぐに、凪くんが横に来た。
笑い声が一瞬聞こえ、目をぎゅっと閉じる。
「……美月。黒板消し貸して」
私は動けない。
静かな教室の中、足音が近付いて来て目を開けた。
目の前に立っていたのは、ユリさん。
黒板をチラリと見て、溜息を漏らすと桜色の唇が開いた。
「黒板に悪口とか、幼稚な事したやつ誰?」
それだけ言うと、私の手から黒板消しを取った。
「……こーいうのって、大概が僻みだから気にしなくて良いと思うよ」
ユリさんはそれだけ言うと、黒板の文字を消し始めた。
「……ありが、と」
喉が詰まり、それ以上言葉が出てこない。
黒板の落書きなんて、初めてじゃない。
何度も向けられてきた悪意だ。
——でも。
今は誰かが、私の味方になってくれる。
一人じゃないと思えた。
黒板からはどんどん落書きが消えていく。
それで、心の傷が消える訳じゃない。
でも、ずいぶん楽だ。
黒板が綺麗になると、ユリさんは何も言わずに席に戻った。