恋愛偏差値0.01。ー恋愛初心者溺愛されますー【完】

「大丈夫です」
視線を逸らせない——
手を水で洗うと、後を振り向いた。
「……行こう」
「……はい」
歩き出したユリさんの後を付いて行く。
着いた場所は校舎裏の温室だった。 ガラス越しの日差しが植物を照らし、湿った空気が肌にまとわりつく。
誰もいない。 だからこそ、逃げ場もなかった。
ユリさんが、ゆっくりと振り返る。
温室で咲いた花の香りが鼻につく。
「昨日は、凪くんと一緒に居たの?」
「……え」
「今日、一緒に学校来たんでしょ?」
私は小さくこくんと頷いた。
「……美月ちゃん」
「……はい」
「……凪くんと同じ匂いするって、すれ違った時思ったの」
心臓が跳ねた。
なんて言おうか考える。
言葉なんて見つからない——
「美月ちゃんは、凪くんが好き?」
コンビニの時と同じ質問をされて、顔を上げた。
あの時は答えられなかった。
でも、今は——
「わ、私、凪くんが好きです……」
何を失ってもいい。
……凪くんだけは、手放したくない。
ユリさんは下を向いたまま、ピクリとも動かない。
「……本当に好きなの?」
「……好きです」
「今まで……好きでもないくせに、凪くんを振り回してるように見えてた。
正直、ムカついてた」
ユリさんは、しゃがみ込む。
「……両思いかぁ」
小さな声でそう呟いた。
どうしたら良いか分からず、固まってしまう。
時間だけが過ぎていく。
呆然としていると、ユリさんが口を開く。