第六十話:初恋の証明、あるいは永遠の誓い(エルサ・ゼオン視点)
【エルサ視点】生まれて初めての、愛おしき不条理
「ーーゼオン、様……っ」
夕闇が部屋を包み込む頃、勢いよく開け放たれた扉から滑り込んできた彼の身体を、私は自ら迎え入れるように受け止めました。
昼間の手紙を読んで駆けつけてくれたのだと、その乱れた息と、私を見つめる紺色の瞳の圧倒的な熱量だけで、すべてが理解できました。
ゼオン様は何も言わず、ただ私の細い身体を、折れてしまいそうなほど強く、けれどこれ以上ないほど大切にその腕の中に抱きすくめました。
「エルサ……お前、あの手紙は反則だ。俺を完全に狂わせる気か」
耳元で響く、低く、低く震える覇王の声。
その胸に顔を埋めながら、私の胸の奥からは、今までに感じたことのない温かな感情が、止めどなく溢れ出して止まりませんでした。
前世の二十五年。今世の十数年。
私の周囲には常に、成果を求める冷酷な声と、私を便利な道具としてしか見ない冷たい視線しかありませんでした。誰も私の心に触れようとはせず、私もまた、誰かに心を差し出すことなど、生存戦略の計算式(データ)には存在しなかった。
だから、分からなかったのです。
胸の奥がこんなにも熱くて、切なくて、その人の体温を感じるだけで、涙が出そうなほどに満たされる、この不条理な感情の名前が。
(ああ、そうか。私は……生まれて初めて、人を好きになったんだわ)
義務でも、対価でも、役割でもない。
ただ、私を「エルサ」として見つけて、私の真っ白で無垢なすべてを愛してくれた、世界でたった一人の男性。その彼に、私もまた、一人の女の子として、魂のすべてを捧げて恋をしている。
「ゼオン様……。私、生まれて初めて、誰かを『好き』になりました。……そして、その大好きな貴方と、これから先、何十年も、ずっと一緒に生きていけることが……今、たまらなく、嬉しいのです……っ」
私の琥珀色の瞳から、一筋の、けれどそれは恐怖ではなく最高の幸福による涙がこぼれ落ちました。
大人の仮面をすべて脱ぎ捨てた、真っ白な少女の、これが偽りのない初恋の証明でした。
【ゼオン視点】永遠の檻、そして絶対の幸福
「ーーっ、エルサ……!」
その告白を聞いた瞬間、俺の胸の奥の独占欲と愛おしさが、完全に限界を突破して爆発した。
俺の胸元を小さな手でぎゅっと掴みながら、涙を浮かべて「ずっと一緒に生きていけるのが嬉しい」と、極上の笑顔を向けてくれたのだ。
前世の孤独も、今世の公爵家の毒も、俺たちの溺愛と真心によって、今、完全にその痕跡すらなく融解した。
エルサの「初めての恋」を、俺が、この手で完全に手に入れたのだ。
「言ったはずだ、エルサ。お前がその心を俺に預けたんだ。もう絶対に、死んでも離してやらない」
俺はエルサの顎を優しく上向かせ、その濡れた瞳を見つめながら、彼女の唇へと深く、深く、吸い付くように口づけを重ねた。
「ん、ぅ……っ……は、ぁ、ゼオン、様……」
何度も、何度も、お互いの恋心を確かめ合うように、熱く、優しく、互いの息を貪り合う。
エルサの細い腕が、俺の首にそっと回される。その健気で愛らしい応えに、俺は心臓が抉られるほどの歓喜を覚えていた。
お前が歩んできた四十年の冬は、今、完全に終わった。
これからは、俺の腕の中という名の、世界で一番安全で、世界で一番甘やかな【永遠の楽園】で、大好きな俺と、俺を愛してくれるお前だけの、終わらない春を、生涯をかけて貪り続けるがいい。
愛を知らなかった異邦の至宝は、今、一人の男の絶対的な真心と恋心によって、世界一幸せな、俺だけの唯一無二の妃となったのだ。
【エルサ視点】生まれて初めての、愛おしき不条理
「ーーゼオン、様……っ」
夕闇が部屋を包み込む頃、勢いよく開け放たれた扉から滑り込んできた彼の身体を、私は自ら迎え入れるように受け止めました。
昼間の手紙を読んで駆けつけてくれたのだと、その乱れた息と、私を見つめる紺色の瞳の圧倒的な熱量だけで、すべてが理解できました。
ゼオン様は何も言わず、ただ私の細い身体を、折れてしまいそうなほど強く、けれどこれ以上ないほど大切にその腕の中に抱きすくめました。
「エルサ……お前、あの手紙は反則だ。俺を完全に狂わせる気か」
耳元で響く、低く、低く震える覇王の声。
その胸に顔を埋めながら、私の胸の奥からは、今までに感じたことのない温かな感情が、止めどなく溢れ出して止まりませんでした。
前世の二十五年。今世の十数年。
私の周囲には常に、成果を求める冷酷な声と、私を便利な道具としてしか見ない冷たい視線しかありませんでした。誰も私の心に触れようとはせず、私もまた、誰かに心を差し出すことなど、生存戦略の計算式(データ)には存在しなかった。
だから、分からなかったのです。
胸の奥がこんなにも熱くて、切なくて、その人の体温を感じるだけで、涙が出そうなほどに満たされる、この不条理な感情の名前が。
(ああ、そうか。私は……生まれて初めて、人を好きになったんだわ)
義務でも、対価でも、役割でもない。
ただ、私を「エルサ」として見つけて、私の真っ白で無垢なすべてを愛してくれた、世界でたった一人の男性。その彼に、私もまた、一人の女の子として、魂のすべてを捧げて恋をしている。
「ゼオン様……。私、生まれて初めて、誰かを『好き』になりました。……そして、その大好きな貴方と、これから先、何十年も、ずっと一緒に生きていけることが……今、たまらなく、嬉しいのです……っ」
私の琥珀色の瞳から、一筋の、けれどそれは恐怖ではなく最高の幸福による涙がこぼれ落ちました。
大人の仮面をすべて脱ぎ捨てた、真っ白な少女の、これが偽りのない初恋の証明でした。
【ゼオン視点】永遠の檻、そして絶対の幸福
「ーーっ、エルサ……!」
その告白を聞いた瞬間、俺の胸の奥の独占欲と愛おしさが、完全に限界を突破して爆発した。
俺の胸元を小さな手でぎゅっと掴みながら、涙を浮かべて「ずっと一緒に生きていけるのが嬉しい」と、極上の笑顔を向けてくれたのだ。
前世の孤独も、今世の公爵家の毒も、俺たちの溺愛と真心によって、今、完全にその痕跡すらなく融解した。
エルサの「初めての恋」を、俺が、この手で完全に手に入れたのだ。
「言ったはずだ、エルサ。お前がその心を俺に預けたんだ。もう絶対に、死んでも離してやらない」
俺はエルサの顎を優しく上向かせ、その濡れた瞳を見つめながら、彼女の唇へと深く、深く、吸い付くように口づけを重ねた。
「ん、ぅ……っ……は、ぁ、ゼオン、様……」
何度も、何度も、お互いの恋心を確かめ合うように、熱く、優しく、互いの息を貪り合う。
エルサの細い腕が、俺の首にそっと回される。その健気で愛らしい応えに、俺は心臓が抉られるほどの歓喜を覚えていた。
お前が歩んできた四十年の冬は、今、完全に終わった。
これからは、俺の腕の中という名の、世界で一番安全で、世界で一番甘やかな【永遠の楽園】で、大好きな俺と、俺を愛してくれるお前だけの、終わらない春を、生涯をかけて貪り続けるがいい。
愛を知らなかった異邦の至宝は、今、一人の男の絶対的な真心と恋心によって、世界一幸せな、俺だけの唯一無二の妃となったのだ。



