【エリーゼ視点】
「ねえレオン、この薬草茶、少し香りを変えてみたの。少し甘い方が、今の気分に合う気がして」
ガルハラの隠れ家での生活は、私にとって夢のような日々だった。
朝、レオンの低い寝息を聞きながら目覚め、彼が狩りで持ち帰った新鮮な肉と、私が森で摘んだ薬草で作ったスープを囲む。彼と視線が合うだけで胸が高鳴り、夜になれば彼の腕の中で、溶けるような愛を交わす。
ここには、私を傷つける檻も、運命を強制する公爵家も存在しない。あるのは、愛する人と過ごすかけがえのない時間だけ。
(もし、このまま一生が過ぎていくのだとしたら……。神様に感謝しても足りないわ)
心臓が最後の時を刻むまで、ずっとこの人の隣で。
そう本気で願っていた、ある朝のことだった。
「ん……っ」
湯呑みに口をつけた瞬間、喉の奥がキュッと引きつるような、奇妙な吐き気が込み上げてきた。
昨夜、レオンと過ごした余韻のせいかしら。少しだけ身体が重いような、微熱があるような感覚。空腹のせいだと思い直し、私はレオンの腕の中でそっと息を吐いた。
「どうした、エリーゼ。顔色が少し悪いぞ」
朝食を摂る私の様子に気づき、レオンが鋭い琥珀色の瞳で覗き込んでくる。その過保護なまでの視線が、今は少しだけ眩しい。
「ううん、大丈夫よ。ただ、少し眠いだけみたい」
私は微笑んで誤魔化したが、その日を境に、私の身体には小さな、けれど明らかな変化が現れ始めた。
強烈な眠気、ふとした瞬間に漂う花の香りにすら敏感になる嗅覚。そして何より――。
「ねえレオン、この薬草茶、少し香りを変えてみたの。少し甘い方が、今の気分に合う気がして」
ガルハラの隠れ家での生活は、私にとって夢のような日々だった。
朝、レオンの低い寝息を聞きながら目覚め、彼が狩りで持ち帰った新鮮な肉と、私が森で摘んだ薬草で作ったスープを囲む。彼と視線が合うだけで胸が高鳴り、夜になれば彼の腕の中で、溶けるような愛を交わす。
ここには、私を傷つける檻も、運命を強制する公爵家も存在しない。あるのは、愛する人と過ごすかけがえのない時間だけ。
(もし、このまま一生が過ぎていくのだとしたら……。神様に感謝しても足りないわ)
心臓が最後の時を刻むまで、ずっとこの人の隣で。
そう本気で願っていた、ある朝のことだった。
「ん……っ」
湯呑みに口をつけた瞬間、喉の奥がキュッと引きつるような、奇妙な吐き気が込み上げてきた。
昨夜、レオンと過ごした余韻のせいかしら。少しだけ身体が重いような、微熱があるような感覚。空腹のせいだと思い直し、私はレオンの腕の中でそっと息を吐いた。
「どうした、エリーゼ。顔色が少し悪いぞ」
朝食を摂る私の様子に気づき、レオンが鋭い琥珀色の瞳で覗き込んでくる。その過保護なまでの視線が、今は少しだけ眩しい。
「ううん、大丈夫よ。ただ、少し眠いだけみたい」
私は微笑んで誤魔化したが、その日を境に、私の身体には小さな、けれど明らかな変化が現れ始めた。
強烈な眠気、ふとした瞬間に漂う花の香りにすら敏感になる嗅覚。そして何より――。


