彼の名は「レオン」。
元は帝国の精鋭騎士団に所属していた獣人の戦士だったが、任務中に魔獣の呪いを受け、右脚の自由を失い、軍を追われて奴隷に落とされたという。
私は彼を公爵家の使われていない離れに匿い、前世の知識(ハーブティーや簡単なマッサージ、そしてこの世界の回復魔法の応用)を使って、彼の脚の治療を試みた。
「エリーゼ、なぜ俺にここまで尽くす。俺はもう、まともに走ることもできない壊れた犬だ」
ある夜、離れの暖炉の前で、レオンは自嘲気味に呟いた。
私は彼の大きな、少し爪の鋭い手を両手で包み込んだ。
「壊れてなんかいないわ。走れないなら、私があなたの脚になる。歩けるようになったら、今度はあなたが私を引っ張って。私ね、前世……じゃなくて、昔、ずっとベッドの上から動けなかったの。だから、諦める人の気持ちが、少しだけ分かるのよ」
レオンの耳がピクリと動き、その琥珀色の瞳に、これまでにない深い光が灯った。
「……お前は、奇妙な令嬢だな」
「よく言われるわ。だから、私と一緒にここから逃げましょう?」
「……御意のままに、俺の小さな主」
レオンが私の手の甲に、誓いのキスを落とした。
その瞬間、私の心臓は、ジュリアン王子には決して感じなかった猛烈な鼓動を刻んでいた。これこそが、私が求めていた本物の「ときめき」だった。
元は帝国の精鋭騎士団に所属していた獣人の戦士だったが、任務中に魔獣の呪いを受け、右脚の自由を失い、軍を追われて奴隷に落とされたという。
私は彼を公爵家の使われていない離れに匿い、前世の知識(ハーブティーや簡単なマッサージ、そしてこの世界の回復魔法の応用)を使って、彼の脚の治療を試みた。
「エリーゼ、なぜ俺にここまで尽くす。俺はもう、まともに走ることもできない壊れた犬だ」
ある夜、離れの暖炉の前で、レオンは自嘲気味に呟いた。
私は彼の大きな、少し爪の鋭い手を両手で包み込んだ。
「壊れてなんかいないわ。走れないなら、私があなたの脚になる。歩けるようになったら、今度はあなたが私を引っ張って。私ね、前世……じゃなくて、昔、ずっとベッドの上から動けなかったの。だから、諦める人の気持ちが、少しだけ分かるのよ」
レオンの耳がピクリと動き、その琥珀色の瞳に、これまでにない深い光が灯った。
「……お前は、奇妙な令嬢だな」
「よく言われるわ。だから、私と一緒にここから逃げましょう?」
「……御意のままに、俺の小さな主」
レオンが私の手の甲に、誓いのキスを落とした。
その瞬間、私の心臓は、ジュリアン王子には決して感じなかった猛烈な鼓動を刻んでいた。これこそが、私が求めていた本物の「ときめき」だった。


