後宮のすみっこには天才薬師がいるらしい ~いないもの扱いだった人質の私、趣味の調薬で国を救って正体がバレました~

 あの日。
 レイラは森の中で不意に人に遭遇したことに驚いて逃げ出してしまった。

 今までも何度か森で人と会ったことはあったけど、それは、迷子になっているっぽい人をレイラが見つけてこちらから声をかけた感じだった。
 当然、フードも被ってた。

 一応、知られていないとはいえ、立場的には側室の1人だし、あまり1人で出歩いて良い立場ではないのは自覚してるので、レイラはこれでも少しは気を使っていたのだ。

 ただ、どうもこの森。
 王宮側の浅い部分は秘密の恋人たちの逢瀬に使われているようで、たま〜に揉めた恋人たちの片方が置き去りにされて迷ってたりするのである。
 主に女性が。

 レイラは、見つけた場合はしばらく見守って、あまりにも見当違いの方向に進んでいる場合は声をかける様にしているのだ。
 行倒れられても寝覚め悪いし、下手に遭難者が出て大規模捜索隊とか出されてもいろいろ都合悪い。
 主にその間薬草採取ができなくなるだの、万が一見つかったら面倒だの、そんな理由だが。

 で、中にはヤケになってるのか、見ず知らずの不審な黒ローブ姿のレイラに相談ごとを持ちかける女性もいるわけで。
 相談内容がレイラでも対応できるような内容の場合は相談にのり、希望があればコッソリと薬を渡したりしてるのだ。

 主に肌荒れやシミ対策の軟膏や化粧水など。
 あと便秘とか、意外にみんな持ってる軽い内臓疾患の解消のための薬とか。

 王宮内に出入りできる様な身分の方達の為、みなさん基本気前が良く、良いお客様となっている。
 商人に買い取ってもらうよりも高値で買ってくれるのだ。
 
 毎度あり。