悪女の代行を演じたら氷の御曹司に永久就職⁉〜お見合い破談に大失敗!私は彼に丸め込まれ溺愛されてます~

「それだけではない」

週刊誌のスクープ記事の原稿を机の上に放り投げた。

「これは来週発売される独占スクープ記事だ。お前たちが結託して行っていたインサイダー取引と架空の発注を用いた不正会計の全容が内部メールのコピーと写真で完璧に網羅されている」

「な、なぜそれを持っているのですか!」

自分たちが完全に退路を断たれ外堀を埋められていたことにようやく気付き震える手で原稿を掴み中身に目を通すと目を見開いた。

「私が事前に情報を買い取ったがお前たちを救うためではない。お前たちをこの家からそしてグループから完全に失脚させるためのタイミングを測っていただけだ」

冷徹なトップの言葉に重信は頭を振り必死に最後の反論を試みた。

「現実を見てください! こんなものが世に出れば我がグループの株価は間違いなく暴落します! 市場は不祥事を最も嫌う!数千億規模が消し飛び信用は失墜し会社を傾かせる気ですか!? 」

重信の叫びはビジネスのセオリーとしては極めて正論。
一族経営の巨大企業におけるトップ層の犯罪や内紛は現代の株式市場において致命傷になりかねない。

「志遠!何がおかしい!」

志遠はゆっくりと立ち上がり冷え切った瞳で床に這いつくばる叔父たちを見下ろしククッと低く楽しげな笑い声を漏らした。

「買い被らないでいただきたい」

志遠はタブレットを取り出しある画面を重信の目の前に突きつけた。

「あなた達が汚した泥をそのまま我がグループの損失にするほど俺は無能ではない。株式市場の動きを読めていないとでも思ったんですか?」

すでに組み立てられた週刊誌が店頭に並ぶ直前に一斉配信される予定の全容が映し出されていた。

「週刊誌が発売されると同時にグループのコンプライアンス委員会および臨時の取締役会名義でこれ世界に向けて発信する。内容は私が一族の関与していた不正を数ヶ月前から極秘に調査し証拠を揃えて自ら警察および金融庁に内部告発したという物だ」

「な…内部告発だと!?」

「ええ。あなた達を全員解任し刑事告訴する。同時に一族経営からの完全な脱却そして社外取締役を過半数誘致し経営の透明性を100%確保する改革の発表を行う」

さらに不正に溜め込んでいた隠し資産を没収しそれを今回の不祥事に対する損失の補填と株主への特別配当の還元すると記してある。

「市場が最も嫌うのは隠蔽と不透明さだ。しかし今回のケースは違う。古い膿が完全に消え去り新しい企業へと生まれ変わる我がグループを見て投資家たちはどう動くと思う?」

志遠はフッと唇を歪め笑みを浮かべた。