悪女の代行を演じたら氷の御曹司に永久就職⁉〜お見合い破談に大失敗!私は彼に丸め込まれ溺愛されてます~

「広すぎる」

感嘆の言葉も出ますよ。
そこに広がっていたのは単なる部屋と言えない計算し尽くされた芸術!
壁はガラス張りでリビングへ続く廊下と言えない重厚感の通路。
その脇には胡蝶蘭がライトアップされてキラキラしてる。
金色に輝くクリスタルのシャンデリアが天井からこぼれ落ちるように輝いて豪華絢爛!

「お待たせしましたぁ〜。志遠さん、どこですかぁ〜?」

寒くない?
いい香りだけど高級ホテルのロイヤルスイートってこんなに冷え冷えするもの?
エアコンとかそんなじゃなくて雰囲気が何となく寒々しい。

「こちらへ」

奥から聞こえた声に奥の全面ガラス張りの窓から美しい夜景が広がるリビングに恐る恐る足を進めた。

(え? うそ、綺麗…女性!?)

中央の革張りに座っている姿が視界に入ると息を止めた。

綺麗すぎる…。
絶世の美女と見忘れるほどの中性的で神々しい容姿の男。
高級そうなスリーピースのスーツを着こなす身体は180㎝を超える高身長だと思う。
偉そうに座ったままだから座高で判断!

(…この人が今日のターゲット! 確かにめちゃくちゃプライドが高そう)

首だけ軽く捻って私に視線を向ける姿に一瞬怯むけど負けてられない。
別のことに照準を合わせることにして視線を逸らした。

まず目に入ったのは髪の色。
アッシュブロンズのミディアムヘアに長く濃い睫毛に縁取られた氷のようなプラチナブルーの瞳。
通った鼻筋と薄い唇。
細くしなやかな首筋や指先は女性より女性を感じる。

「座ってくれ。時間を無駄にしたくない」

おぉ…噂と調査通りに冷徹な感じ。
嫌いなタイプが下品で時間効率を考えない女だったっけ。

リサーチ通りでこっちにとっては好都合!
今日、私は待ち合わせの時間に1時間ほど遅刻。
衣服も最高に彼の嫌いな感じの下品さで仕上がってる…と思う。
あ、言っときますが遅刻も服もはわざとです。

「はぁい!あっ、足が」

内心でガッツポーズを浮かべるとわざと千鳥足でフラフラと歩き彼の対面ではなく隣の席へ強引に滑り込んだ。