今から婚約破棄直後の悪役令嬢が通ります。ご注意ください。

 貴族たちが面白がるような好奇心を満たすため、ここでの会話を酒の肴に使われるなんて、私はまっぴらごめんなの。

「ベロニカ様。どうか、お待ちください。僕はお話ししたいことがあります」

 貴族たちが散会したのは、つい先ほどだった。声を無視して私が先を急いで進めば、人も少なくなった。

 王城自体がとても広いとは言っても、馬車留めは大広間からはそう離れていない。利便性を考えて作られているからだ。

 誰かに追われて華麗な城を急いで駆け抜けるなんて、まるでシンデレラのような状況だけど、追って来ているのは、王子様ではない……彼が誰であるのかも、私は興味はないわ。

「お待ちください。ベロニカ様。貴女は……冤罪では?」

 流石に聞き捨てならない事を聞いて、私は足をとめて彼を振り返った。

 周囲には、貴族たちはいない。そして、衛兵は姿は見えるけれど、声は聞こえないだろう距離だ。

 ここでならば、少し話しても良いだろう……そう思った。

「一体、何なの? あまりにも、しつこくないかしら。私の身に何があったのか、知っているでしょう?」

 私は不機嫌を全開にして、そう言い放った。