今から婚約破棄直後の悪役令嬢が通ります。ご注意ください。

 クラウスから聞くところによると虚偽の罪で婚約者へ婚約破棄を宣言し私の名誉を著しく傷つけたと、国王陛下は王太子エドガルド殿下に激怒したらしい。

 私が『許した』と言うまでは、城にも帰れないしソフィア・アルテナにも会えないらしい。というかソフィア・アルテナは、政治的な情報を流すスパイの疑いがあるとして隣国へ強制送還された。

 確かに、ソフィアは女性たちが集まるお茶会でも、やけに政治的な話題を出していたわね……まるで、そういう情報を集めようとしているように、私にも思えたのだ。

 二人には大変申し訳ないけれど、良い気味だわ。どうか心の底から反省して欲しい。

「ええ。それだけ、本気なんですよ。ベロニカ嬢。どうか、僕と結婚してください」

 気が付けば、私の傍にいて跪いて愛を乞う騎士クラウス。『王の騎士』だとしても、王太子をあんな風な目に遭わせるなんて……彼は一体、何者なのかしら。