……いいえ。王太子を懲らしめるなんて、国王陛下や王妃陛下くらいしか無理なのではないかしら。エドガルドや彼の周囲が私がとんでもない悪女だったと証言すれば、それを誰が庇ってくれるだろうか。
それ以上何も言わなかったクラウスは我が家の馬車まで、紳士らしく送ってくれた。正直に言えば助かった。こんな時に一人で貴族の集団に突っ込むなんて、肉食獣の群れに入るくらいに、なかなかに勇気のいる行動だったから。
窓から見送るクラウスを見ながら、彼はあれを実行することは無理だろうと思った。
もし、クラウスが『王の騎士』の一人だったとしても、王太子に対して、何かが出来るわけでもないだろう。
クラウスが悪いわけではない。貴族社会とは身分差とは、得てしえてそういうものなのだ。私は肩を竦めてまだ動かない彼から視線を外した。
◇◆◇
「おい! ベロニカは、邸の中にいるんだろう! 会わせてくれ。一刻も早く」
「殿下……とにかく、お帰りください。お嬢様は、話したくないと……」
「聞こえるのか……ベロニカ! お願いだから、俺を許すと言ってくれ!」
それ以上何も言わなかったクラウスは我が家の馬車まで、紳士らしく送ってくれた。正直に言えば助かった。こんな時に一人で貴族の集団に突っ込むなんて、肉食獣の群れに入るくらいに、なかなかに勇気のいる行動だったから。
窓から見送るクラウスを見ながら、彼はあれを実行することは無理だろうと思った。
もし、クラウスが『王の騎士』の一人だったとしても、王太子に対して、何かが出来るわけでもないだろう。
クラウスが悪いわけではない。貴族社会とは身分差とは、得てしえてそういうものなのだ。私は肩を竦めてまだ動かない彼から視線を外した。
◇◆◇
「おい! ベロニカは、邸の中にいるんだろう! 会わせてくれ。一刻も早く」
「殿下……とにかく、お帰りください。お嬢様は、話したくないと……」
「聞こえるのか……ベロニカ! お願いだから、俺を許すと言ってくれ!」



