『男装歌い手、はじめました。~弟を養うためのヒミツの男装、大人気歌い手グループ『Canvas』の先輩たちにバレちゃいそうです!~』

最初は、普通の女子中学生として歌ってみた動画を投稿した。

けれど、現実は残酷だった。

『女子の歌い手なんて、今どき星の数ほどいるし売れないよ』

コメント欄に書かれた匿名の言葉に、胸がズキリと痛む。

女子じゃ、売れない。

だったら――。

私はバッサリと髪を切り落とした。

元々スカートよりズボン派だったから、メンズのパーカーを着るだけで、鏡の中には少し線の細い、綺麗な少年が立っていた。

『男装歌い手・AOI』の誕生だった。

律を守るため。

お金を稼ぐため。

可愛い女の子としての自分なんて、全部捨てた。

必死に「強い男の子」のフリをして、魂を削るようにしてマイクに向かって歌い続けた。

弟を守りたい。