その食べ方が好きなんです

「あの、課長?信じてください、私、課長に食べられたいって思うくらい課長の食べ方が好きなんですからね!」

「……俺に食べられたい?」

「そうです、その綺麗な口元でもぐもぐって……ああ、何言ってんだろう、私……」

 パニックになった私を課長が壁に追い詰めた。

「紺野」

「……は、はい、すみません、変なこと言ってごめんなさい……」

「お前のこと食べていいのか?」

「……へ?」

 気づくと目の前に課長のドアップがあった。私の顎は課長の長い指に捕らえられ、上を向いている。

「よく見てろ」

 課長の口元が近づいてきて、私の唇に吸い付いた。

「……!」

「今日の夜、一緒に食事へ行こうか?好きなだけ見ていいぞ。俺の食べるところ」

「……へ、は、はい……」

「その代わり、俺もいずれお前のことを食べたい。これじゃ足りないからな。聞いてるのか?」

 唇をチュッと吸われて、固まった。どうしてこうなった?

「……紺野、俺はお前が好きだ。お前は俺の食べるところだけが好きらしいが、俺はお前のこと全部が好きだ」

 今なんて?お前のこと全部が好き?誰が?誰を?

「俺とつきあってくれ、紺野。そうしたら、好きなだけ食べるところを斜め前じゃなく、正面から毎日見られるぞ。どうだ?」

「……い、いいんですか?食べ方フェチなんですよ」

「いいよ。食べ方以外も好きになってもらえるよう努力する。いつか紺野が許してくれたら、お前を丸ごと食べてやる。その時はじっくりゆっくりと食べてやるから、紺野もじっくりゆっくりと俺を観察してくれ」

 卒倒しそうになった私を課長は優しく抱きしめた。

FIN.