大型犬男子は、今日も私を甘やかす【完】

旅館を出ると、爽やかな潮風が頬を優しくなでた。

「こっちだよ」

陸斗に案内されながら、二人でゆっくり歩き始める。朝の熱海はまだ人も少なく、どこか穏やかな空気が流れていた。土産物屋は準備を始めたばかりで、通りを歩く人もまばらだ。

「朝って静かだね」
「昼になると、もっと賑やかになるよ」

そんな他愛ない話をしながら歩いていると、潮の香りが少しずつ濃くなっていく。やがて、遠くから聞こえていた波の音がはっきりと耳に届くようになった。

「もうすぐだよ」

◇◇◇