大型犬男子は、今日も私を甘やかす【完】

その一言に、また胸がどきりと鳴る。

「……もう」

照れ隠しに小さく頬を膨らませると、陸斗は楽しそうに笑っていた。
必要なものをまとめたトートバッグを手に取る。

「貸して」

陸斗は当たり前のように私の手からバッグを受け取った。

「ありがとう」
「海までどのくらい?」
「歩いて十分くらいで着くよ」

知らない場所を、こうして陸斗と並んで歩く。
それだけで、胸の奥が少し弾んだ。
旅に来ることなんて、ほとんどなかった私。
だからだろうか。これから始まる時間を思うだけで、子どもの頃みたいな冒険心が芽生えてくる。