大型犬男子は、今日も私を甘やかす【完】

階段を降りて砂浜に足を下ろすと、さらりとした砂が足裏に沈み込んだ。
踏みしめるたびに少しだけ形が崩れて、頼りないのに、不思議と心地いい。

波の音が少しずつ近づいてきて、一面の青が目の前に広がった。私は大人になってから、海なんてほとんど来ていなかった。
仕事ばかりで、休みの日も家で過ごすことが多い。

だから今ここにいること自体が、どこか現実じゃないみたいで、くすぐったい。
しばらくの間、手を繋いだまま波の音を聞いていた。こんなにゆっくりとした朝は、なかなかない。