雨が降る日はジャスバーへ ――歌姫の告白――

 聞き終えると、涙がポタポタと床に落ちる。それ程、彼の世界に優しく包み込まれた。

 認められなくても……ずっと頑張ってきた。
 私が歌詞を作って歌わないと、夢は叶わない。
 そう思って、ずっと走ってきた。

 いつから笑わなくなったんだろう。あんなに楽しかった音楽は、今はもう敵だ。楽しくないのに、良い歌詞なんて書けないよね――休もう。好きになる為に、夢に歩き出す為に。

 涙を拭って席に戻った。
「すみません。あの、ライブに出てた人の名前って……」

「レンって言うのよ。あたしの息子よ」

「レン……」

「そんなに気になるなら呼んであげる。少し話してみたら」

 それから数分後。レンが来た。

 
「今晩は、レンです」

 近くで見ても顔は格好良く、ニコっとした笑顔は素敵だった。