黄金に染まった田園風景を後ろに押しやり
ながら滑るように進んだタクシーは、いつの
間にか大通りに戻っていた。けれど、『満岡
稲荷神社』の看板が遠くに見えたかと思うと、
渋滞に巻き込まれ、ガクンとスピードが落ち
てしまう。ゆっくり進んだかと思えば信号で
止まり、また進んだかと思えば前の車のブレ
ーキランプが赤く光って止まる。
そんなことを繰り返しているうちメーター
はみるみる上がっていき、ついに二四〇〇円
に達してしまった。
「ぜんぜん進まない。この先で事故でもあ
ったんですかねぇ」
首を伸ばして前方を見ながら、運転手さん
がハンドルを叩く。
「神社に向かうバスが事故に遭ったんです。
友だちがそのバスに乗ってて……」
サコッシュから財布を取り出しながら冷静
に言うと、運転手さんは「ええっ!?」と目
を丸くした。
「そうならそうと早く言ってくださいよ」
「すみません。なんだか言うのが恐くて」
「大丈夫なんですか?お友だちは」
「わからないんです。わからないから急が
ないと。わたし、ここで降ります」
「……降りるって、医療センターは神社か
ら二駅も先ですよ?まだ、ずいぶんあるのに」
「大丈夫です。走りますから」
眉間にシワを刻んでいる運転手さんにお金
を渡す。気遣わし気な視線を背中で受け止め
つつタクシーを降りると、窓が開いて運転手
さんが顔を覗かせた。
「道なりに進んで神社を超えたら三つ目の
交差点を左折すれば、そこからすぐです」
「ありがとうございますっ!」
ぺこりと頭を下げると、わたしは一目散に
駆け出す。走りながらスマホを取り出して鷲
塚さんにかけてみたけれど、ツー、ツー、と
無機質な音が聴こえるだけで電話は繋がらな
かった。
状況がわからないから焦りが募る。体より
も先に心が走って行ってしまいそうで、わた
しは必死に手足を動かした。歩道は広いけれ
ど舗装状態がいいとは言えず、ところどころ
盛り上がって亀裂が入っている道を、転ばな
いように走る。徒歩で祭りに向かう人たちの
笑い声が耳を掠めても、後ろでパーッっとク
ラクションが鳴っても、わき目も振らず凸凹
した道を駆け抜けた。
すると、走り出して数分もしないうち視線
の先に警官の姿が見えた。道路に赤いコーン
を並べ、車を誘導している。
ながら滑るように進んだタクシーは、いつの
間にか大通りに戻っていた。けれど、『満岡
稲荷神社』の看板が遠くに見えたかと思うと、
渋滞に巻き込まれ、ガクンとスピードが落ち
てしまう。ゆっくり進んだかと思えば信号で
止まり、また進んだかと思えば前の車のブレ
ーキランプが赤く光って止まる。
そんなことを繰り返しているうちメーター
はみるみる上がっていき、ついに二四〇〇円
に達してしまった。
「ぜんぜん進まない。この先で事故でもあ
ったんですかねぇ」
首を伸ばして前方を見ながら、運転手さん
がハンドルを叩く。
「神社に向かうバスが事故に遭ったんです。
友だちがそのバスに乗ってて……」
サコッシュから財布を取り出しながら冷静
に言うと、運転手さんは「ええっ!?」と目
を丸くした。
「そうならそうと早く言ってくださいよ」
「すみません。なんだか言うのが恐くて」
「大丈夫なんですか?お友だちは」
「わからないんです。わからないから急が
ないと。わたし、ここで降ります」
「……降りるって、医療センターは神社か
ら二駅も先ですよ?まだ、ずいぶんあるのに」
「大丈夫です。走りますから」
眉間にシワを刻んでいる運転手さんにお金
を渡す。気遣わし気な視線を背中で受け止め
つつタクシーを降りると、窓が開いて運転手
さんが顔を覗かせた。
「道なりに進んで神社を超えたら三つ目の
交差点を左折すれば、そこからすぐです」
「ありがとうございますっ!」
ぺこりと頭を下げると、わたしは一目散に
駆け出す。走りながらスマホを取り出して鷲
塚さんにかけてみたけれど、ツー、ツー、と
無機質な音が聴こえるだけで電話は繋がらな
かった。
状況がわからないから焦りが募る。体より
も先に心が走って行ってしまいそうで、わた
しは必死に手足を動かした。歩道は広いけれ
ど舗装状態がいいとは言えず、ところどころ
盛り上がって亀裂が入っている道を、転ばな
いように走る。徒歩で祭りに向かう人たちの
笑い声が耳を掠めても、後ろでパーッっとク
ラクションが鳴っても、わき目も振らず凸凹
した道を駆け抜けた。
すると、走り出して数分もしないうち視線
の先に警官の姿が見えた。道路に赤いコーン
を並べ、車を誘導している。



