「二人はもう決まってる?なにがいい?」
僕はブレンドで、とスマートに注文をして
メニューをこちらに渡してくれる。
「じゃあ、わたしはアイスカフェモカで」
小首を傾げながらしおらしくウエイターに
伝えた瞬間、大翔が思いっきり片眉を上げた。
「コーヒーゼリーフロート食べたいって言
ってたじゃん。それでいいの?」
「うっ」
どうしてそれ言っちゃうかな?とは言えず、
まあ、そうなんだけど、と苦笑いを浮かべる。
その様子を見ていたお父さんはウエイターを
見上げた。
「コーヒーゼリーフロートを二つお願いし
ます」
指を二本立てて言ったお父さんに、大翔が
目を丸くする。
「なんで二つ?俺、アイスコーヒー頼もう
と思ってたんだけど」
「お父さんと一緒に食べよう。アイスコー
ヒーも注文すればいいよ」
「なら、別にいいけど」
お父さんの提案に大翔が目を伏せる。あっ
さり引き下がった大翔をわたしは隣から、ち
らっと、盗み見た。メニューを閉じてウエイ
ターに渡している大翔は明らかに嬉しそうな
のに、それを無理に隠そうとしているからか
不自然に真顔になっている。
なんかこういう大翔、初めて見るな。
お父さんのこと、本当に好きなんだ。
息子の顔をしている大翔がちょっと新鮮で、
思わず頬が緩んでしまう。生温かい視線に気
付いた大翔が、なに?と無言で問いかけて来
たので、わたしは肩を竦めたまま首を振って
見せた。ウエイターがオーダーを復唱し颯爽
とその場を去っていく。少しの間とりとめの
ない話をしていると、まもなくわたしと大翔
の前にボリューム感たっぷりのデザートが並
んだ。
「うわぁ、美味しそう!」
手を合わせ感激しているわたしとは対照的
に、大翔のテンションが下がる。
「アイスコーヒー被ってるんだけど」
「あ、ホントだ」
パフェグラスの真ん中から下はアイスコー
ヒーだ。なのにその隣に置かれたグラスにも、
同じ色をした飲み物が注がれている。
「なんか胃がもたれそう」
「残ったらお父さんが飲むから」
すかさずお父さんがフォローをしてくれた
けれど、大翔は首を振った。
「いい、俺が飲む。温かいの飲んだあとに
冷たいの飲んだら、なんか口の中ヘンになり
そうだから。父さんはゼリー半分食べて」
きっぱりそう言ってグラスにストローを差
し込むと、大翔は一気にアイスコーヒーを喉
に流し込む。わたしとお父さんは視線を交わ
し、どちらともなく白い歯を見せた。
祭りの打ち合わせはコーヒー尽くしのそれ
を半分ほど食べた頃に始まった。
僕はブレンドで、とスマートに注文をして
メニューをこちらに渡してくれる。
「じゃあ、わたしはアイスカフェモカで」
小首を傾げながらしおらしくウエイターに
伝えた瞬間、大翔が思いっきり片眉を上げた。
「コーヒーゼリーフロート食べたいって言
ってたじゃん。それでいいの?」
「うっ」
どうしてそれ言っちゃうかな?とは言えず、
まあ、そうなんだけど、と苦笑いを浮かべる。
その様子を見ていたお父さんはウエイターを
見上げた。
「コーヒーゼリーフロートを二つお願いし
ます」
指を二本立てて言ったお父さんに、大翔が
目を丸くする。
「なんで二つ?俺、アイスコーヒー頼もう
と思ってたんだけど」
「お父さんと一緒に食べよう。アイスコー
ヒーも注文すればいいよ」
「なら、別にいいけど」
お父さんの提案に大翔が目を伏せる。あっ
さり引き下がった大翔をわたしは隣から、ち
らっと、盗み見た。メニューを閉じてウエイ
ターに渡している大翔は明らかに嬉しそうな
のに、それを無理に隠そうとしているからか
不自然に真顔になっている。
なんかこういう大翔、初めて見るな。
お父さんのこと、本当に好きなんだ。
息子の顔をしている大翔がちょっと新鮮で、
思わず頬が緩んでしまう。生温かい視線に気
付いた大翔が、なに?と無言で問いかけて来
たので、わたしは肩を竦めたまま首を振って
見せた。ウエイターがオーダーを復唱し颯爽
とその場を去っていく。少しの間とりとめの
ない話をしていると、まもなくわたしと大翔
の前にボリューム感たっぷりのデザートが並
んだ。
「うわぁ、美味しそう!」
手を合わせ感激しているわたしとは対照的
に、大翔のテンションが下がる。
「アイスコーヒー被ってるんだけど」
「あ、ホントだ」
パフェグラスの真ん中から下はアイスコー
ヒーだ。なのにその隣に置かれたグラスにも、
同じ色をした飲み物が注がれている。
「なんか胃がもたれそう」
「残ったらお父さんが飲むから」
すかさずお父さんがフォローをしてくれた
けれど、大翔は首を振った。
「いい、俺が飲む。温かいの飲んだあとに
冷たいの飲んだら、なんか口の中ヘンになり
そうだから。父さんはゼリー半分食べて」
きっぱりそう言ってグラスにストローを差
し込むと、大翔は一気にアイスコーヒーを喉
に流し込む。わたしとお父さんは視線を交わ
し、どちらともなく白い歯を見せた。
祭りの打ち合わせはコーヒー尽くしのそれ
を半分ほど食べた頃に始まった。



