「うーん、どうしよう。悩むなぁ」
レザー調のメニューブックを見つめ、腕を
組む。視線が彷徨う先には、洋梨型のパフェ
グラスに入ったコーヒーゼリーフロートと、
ホイップクリームの上にチョコレートソース
がかけられたアイスカフェモカの写真がある。
コーヒー味のアイスがのったコーヒーゼリ
ーフロートの最下層はアイスコーヒーとなっ
ていて、絨毯のように真ん中に敷かれた生ク
リームが褐色のゼリーを支えている。
つまりアイスとゼリーとコーヒー、三つの
味を堪能できる一品なわけで。期間限定とい
う美味しいプレミアまで付いているのだけど、
どうにもお値段が高すぎて決められない。
アイスカフェモカの倍近くしてしまう。
「これ頼むのは図々しいよね。やっぱ無難
に、アイスカフェモカにしようかな」
自分に言い聞かせるように言って頷くと、
大翔がふっと息を漏らした。
「頼みたいほう頼めばいいじゃん。父さん
のおごりなんだし」
「だから遠慮してるんだよ。ついでに同席
してるだけのわたしが、こんな高いの頼んだ
ら失礼じゃん」
声のトーンを下げつつ隣に座っている大翔
を向く。大翔のお父さんと待ち合わせをして
いるカフェはラグジュアリーなホテルの一階
にあり、店内を見渡せば自分たちが浮いてい
るのが二秒でわかる。
緑に囲まれたガーデンカフェは、ガラス張
りのテラス席から柔らかな陽射しが差し込ん
でいて明るい。開放的な空間でカフェタイム
を愉しんでいる人々の声が陽だまりの中を転
がって、テーブル席にちんまりと座っている
わたしたちのところまで届いていた。
カチャカチャ食器の音をさせながら黒いエ
プロンをしたウエイターが前を横切る。銀色
のトレーにのったコーヒーゼリーフロートを
目で追いかけ、わたしは思わず生唾を飲んだ。
「別に遠慮することないと思うけど。たか
が七百円の違いじゃん。父さんにしてみれば
誤差だって」
「そうかもしれないけど、厚かましい子だ
と思われたくないんだよね。第一印象悪くし
ちゃうと、後から変えるの大変だし」
「ならジンジャーエールにすれば?こん中
で一番安いよ?」
「こういう時に炭酸は飲みたくない。お腹
苦しくなっちゃう。あ、そうだ。大翔も同じ
の頼めばいいんだ。一緒に食べようよ。期間
限定、いましか食べられないよ?」
レザー調のメニューブックを見つめ、腕を
組む。視線が彷徨う先には、洋梨型のパフェ
グラスに入ったコーヒーゼリーフロートと、
ホイップクリームの上にチョコレートソース
がかけられたアイスカフェモカの写真がある。
コーヒー味のアイスがのったコーヒーゼリ
ーフロートの最下層はアイスコーヒーとなっ
ていて、絨毯のように真ん中に敷かれた生ク
リームが褐色のゼリーを支えている。
つまりアイスとゼリーとコーヒー、三つの
味を堪能できる一品なわけで。期間限定とい
う美味しいプレミアまで付いているのだけど、
どうにもお値段が高すぎて決められない。
アイスカフェモカの倍近くしてしまう。
「これ頼むのは図々しいよね。やっぱ無難
に、アイスカフェモカにしようかな」
自分に言い聞かせるように言って頷くと、
大翔がふっと息を漏らした。
「頼みたいほう頼めばいいじゃん。父さん
のおごりなんだし」
「だから遠慮してるんだよ。ついでに同席
してるだけのわたしが、こんな高いの頼んだ
ら失礼じゃん」
声のトーンを下げつつ隣に座っている大翔
を向く。大翔のお父さんと待ち合わせをして
いるカフェはラグジュアリーなホテルの一階
にあり、店内を見渡せば自分たちが浮いてい
るのが二秒でわかる。
緑に囲まれたガーデンカフェは、ガラス張
りのテラス席から柔らかな陽射しが差し込ん
でいて明るい。開放的な空間でカフェタイム
を愉しんでいる人々の声が陽だまりの中を転
がって、テーブル席にちんまりと座っている
わたしたちのところまで届いていた。
カチャカチャ食器の音をさせながら黒いエ
プロンをしたウエイターが前を横切る。銀色
のトレーにのったコーヒーゼリーフロートを
目で追いかけ、わたしは思わず生唾を飲んだ。
「別に遠慮することないと思うけど。たか
が七百円の違いじゃん。父さんにしてみれば
誤差だって」
「そうかもしれないけど、厚かましい子だ
と思われたくないんだよね。第一印象悪くし
ちゃうと、後から変えるの大変だし」
「ならジンジャーエールにすれば?こん中
で一番安いよ?」
「こういう時に炭酸は飲みたくない。お腹
苦しくなっちゃう。あ、そうだ。大翔も同じ
の頼めばいいんだ。一緒に食べようよ。期間
限定、いましか食べられないよ?」



