午前零時、夜に恋をした。

漣くんの背中を見つめながら、私は胸の高鳴りを必死に抑えていた

どうしよう……返事、書きたい……!

先生が黒板に数式を書き殴る音が、静かな教室に響いている
今がチャンスだ。

私はノートの端を小さく破ると、シャープペンシルを握りしめた
周りの目が気になって、文字がいつもより小さく震えちゃう
『 腕、全然痛くなかったよ。 ノートはバッチリ取っておくから安心してね! 』

漣くんと同じように、小さく四角く折りたたむ、
問題は、これをどうやって渡すかだ。漣くんの席は、私の斜め前

私のすぐ前の席には、のんびり屋の男子が座っている
先生がまた黒板に向き直った瞬間、私は意を決して
前の男子の背中をペン先でツンツンとついた

「ん?なに、天音?」

「ごめん、これ、夜凪くんに回して……!」

私は手の中に隠した小さな紙を、祈るような気持ちで差し出した
男子は不思議そうな顔をしながらも、「あ、おう」と小さく頷いて、
それをさらに前の漣くんの机へと滑らせてくれた

ドキドキしすぎて、口から心臓が飛び出そう
漣くんは、回ってきた紙に一瞬だけ肩をピクッと震わせた

そして、周りにバレないような鮮やかな手つきでそれをポケットにしまう

次の瞬間、漣くんがほんの少しだけ首を傾けて、横目で私の方を振り返った
ほんの一瞬、1秒にも満たない時間

だけど、確かに目が合って、漣くんの口元が「サンキュ」って動いた気がした
慌てて前を向いた漣くんの背中は、さっきよりも少しだけ、愛おしく見えた。