午前零時、夜に恋をした。

ひまりの追及を「ちょっとトイレが長引いちゃって!」
となんとか誤魔化し、席に着いた直後

ガラガラと前方のドアが開いて、5分遅れで漣くんが入ってきた

「すみません、遅れました」

先生にぶっきらぼうに頭を下げて、自分の席へと歩き出す漣くん
廊下側の私の席の横を通るとき、彼は目線すら合わせなかった

やっぱり、クラスの中だといつものクールな漣くんだな……

なんだか少し寂しくなって、小さく息を吐いたその瞬間
カサッ。私の机の端に、何かが滑り込んできた

「え……?」

びっくりして手元を見ると、そこにあったのは、
小さく折りたたまれたノートの切れ端。

そしてその上には、なぜか屋上の床に落ちていたはずの、
小さなカエデの枯れ葉が1枚、そっと添えられていた

心臓がドクン、と大きく跳ねる。
周りの目が気になって、慌ててそれを筆箱の陰に隠した

教科書を開くフリをしながら、机の下でこっそりその紙を開いてみる
そこには、少し乱暴だけど、力強くて綺麗な漣くんの文字が並んでいた

『 ノートよろしく。 あと、さっきは急に引っ張って悪かった。腕、痛くなかったか? 』

「――っ」

声が出そうになって、慌てて両手で口元を押さえた
5分遅れて入ってきたのは、怪しまれないためだけじゃなかったんだ

屋上でこのメッセージを急いで書いて、私に渡すタイミングを計ってくれていたんだ
前の席に座る漣くんの背中をそっと見つめる

授業を聞いているフリをしている彼の耳の後ろが、
ほんのり赤くなっているのが見えた

手に持った小さな枯れ葉が、さっきの屋上の熱をまだ覚えているみたいに、
私の指先を優しく温めていた