伝説の『姫』。現在、地味子Aとして潜入中!

「P140を開いて。
以下の問題を制限時間内に解いてください。
はじめ。」

…わっ…

流石進学校。

前通ってた学校の内容よりも遥かに難しい問題がぎっしりとある。

今は…ここか。

丁度テストで出た問題の応用…かな。

ここは…こう。

ここは前の公式を当てはめて…。

解き終わった頃、丁度時計が鳴った。

ピピピピピッ

…ふぅ…。

「終了です。
では今解いた問題を1人ずつ指名していくので、答えていってください。」

クラスの所々からは「無理ー」「ムズすぎない?」などの不満の声が上がっていた。

たしかに難しかったもんなぁ…。

「それでは問1の⑴を…皇くん、お願いします。」

「はい。
7/2 です。」

「正解です。
座ってください。」

おぉ〜!と感嘆の声が上がる。

皇くん、頭もいいんだなぁ〜…

「それでは次の問題を…」

着々と進んで行った時、とある問題で何人かが躓いていた。

「それでは…亜月さん。
代わりにお願いできますか?」

すると先生が私を指名してきた。

わ、私?

本当なら目立たない方がいいんだけど…、

「えー地味子に解けるの?」

クスクス…と笑い声。

…あぁ、やっぱり。

滝くん、ハル先輩。

─ごめんなさい。

「√πです。」

「正解ですね。
解説もお願いできますか?」

「はい。
高校生の範囲を超えているように見えますが、視点を2次元に変化させ──」

「完璧な解説ですね。
座って下さい。」

…ふぅ…。

「…は…?」



どこからが聞こえた、戸惑うような声。

どうしたんだろう…?

…気のせい…かな?

それにしても…

「あの地味子…本気…?」

「え…すご…。」

「満点って噂、マジだったんだ…」

など、驚きを交えたような声もあれば

「ハッさすが地味子。」

「真面目いい子ちゃん過ぎ〜笑」

など、皮肉的な声でクスクスという笑い声も聞こえる。

「皆さん静かに。
それでは次の問題を…」

着々と授業は進んでいき、あっという間に授業終わりのチャイムが鳴った。



「それでは皆さん、ここの復習をしっかりとしてくださいね。」

そう言って出ていった数学の先生。

ふぅ〜とりあえず1限目終わりだ〜っ

安心していると、スマホがブーブーとバイブ音が鳴った。

誰だろう…?とスマホを開くと、〖月島 滝〗と書かれた電話画面が映し出されていた。

急いで誰もいない場所に移動し、電話に出る。

すると

『先輩、本当に大丈夫ですか?
そいつ、男ですか?女ですか?
信用できますか?』

電話を繋げた瞬間、凄く大量の質問をされてしまった。

うっ…す、すごく心配されてる…!

「スメラギ くんっていう、同じクラスの人!
学校を案内してくれるらしいから、行けなくなっちゃったの。
約束してたのにごめんね。」

そう返すと、返事が帰ってこなくなり、「滝くん?」と言うとすぐにこう返事が返ってきた。

『…それは、関係があることですか?』

"何に" とは言われてない。

でも、きっと"任務"のことだろうと容易に想像ができた。

滝くん、心配してくれてるんだろうな。

この任務の捜査対象者は皆、SSクラスの力を持っている。

初めは例え喧嘩の手馴れた私でも、怖気付いてしまったほどだ。

だからこそ、まだ確定していない不確定なことに可愛い後輩を巻き込みたくない。

「関係はないよ。ただ仲良くしたいなって思っただけっ!
滝くんこそクラスとかは大丈夫?」

そう聞き返すと『あー…』と濁したような声が聞こえる。

でもまたすぐに

『まぁ…はい。
でもやっぱり、ここは噂通りですね。
なんか図の高いやつが多いって言うか。
……まぁ全員殴り伏せましたけど。』

ん?最後なんだか不吉な言葉が聞こえたような…?

気のせいかな?

「そういう人は多いかもだけど、根はいい人だと思うから。
あんまり冷たくしないようにね?」

注意的に言うと『…はい。』と渋々とした返事が来た。

もう少し話していたかったけど、次の授業までの時間が迫っていることに気が付いた。

「滝くんもう時間になるからそろそろ行くね。
あと、心配してくれてるありがとう。」

そういうと、滝くんは『はい。』と言ってくれた。

切ろうとすると、『あの』という声が聞こえてきて手を止めた。

『先輩に何かあったら、絶対言ってください。
何があっても駆け付けますから。』

「…うん、嬉しいっ…!
ありがとう、滝くんっ」

その言葉がただただ、嬉しく感じた。

『…えと、あのそれじゃあ…』

戸惑うような声が聞こえて、そろそろ時間がギリギリだもんな…と思う。

「うんっまたねっ!」

名残惜しくもそう電話を切り、私は一人教室へ向かった。