手フェチ女とピアニスト

「由麻が手フェチって、知ってたよ」
「えええっ!?」

 由麻は驚いて顔を上げる。
 目の前の涼は、悪戯っ子のような笑みを浮かべていて。

 涼の前で手フェチの話をしたことはない。
 初めて会った居酒屋で、友人に向かって話していたのを聞いた?
でもあの時かなり席が遠かったし、小声で喋ってたし、聞こえてるはずはない。

「どこで知ったんです……?」
「初めて会った店内」
「席が離れてたから、聞こえてるはずないんだけれど……」
「ああ。唇の動きで読み取った」

(ど、読唇術!?)

「席が離れてたのに、私を見てたのはどうして……?」

 店内の端と端。
 特に目立つ行動はしてなかったのに。
 眉間にシワを寄せる由麻を見て、涼はにっこりと笑った。