お嬢様の代わりに冷徹王子に嫁ぎます

「あ、あのっ……」

目の前に座るコーラン様に声をかけようとした時、「着きました」と遮られた。

「ここが王城ですよ」

コーラン様につられて馬車の窓から外を見る。
いつの間に着いたのだろう。目の前には大きくそびえ立つ王城があった。圧倒的な大きさに、開いた口が塞がらない。白を基調にし、いくつもの塔の屋根はグレーの瓦で屋根が作られている。ちょっとやそっとではどうにもならない立派な建物だ。

「凄い……」

私の小さな呟きにコーラン様は笑った。

「先日社交界でいらしたではありませんか。何を今さら」
「あ、あぁ。そうでしたね」

ギクッとして笑ってごまかす。
ここで社交界や舞踏会が行われていたのか。本当にジュアナお嬢様は貴族のお嬢様なんだなと、身分の違いを痛感させられた。

「そうはいっても、大ホール以外は入ったことがありませんもんね。後でご案内いたします」
「ありがとうございます」

私、実はジュアナお嬢様ではありません。

そう言おうとしていた。今ならまだ間に合うかもしれないと。しかし、それは思い違いだ。ジュアナお嬢様の身代わりとなったあの瞬間から、もう歯車は動き出した。

私はもう引き返せないのだ。

このそびえ立つ王城を目の前にして、それを痛いほど痛感させられた。