お嬢様の代わりに冷徹王子に嫁ぎます

ひとり、部屋の中で私は膝を抱えていた。
自室の扉の外には衛兵が二人監視しており、窓の外にも衛兵がこちらを見張っている。全ての出入り口は見張られていた。

当然といえば当然のこと。室内にいないだけまだマシなのかもしれない。

自然と深い溜息がでる。

きっと今頃、ジュアナお嬢様がユアン王子に説明しているのだろう。言い分はどうであれ、本物が見つかったのだ。私はお役御免。
この後は元の通り、ユアン王子とジュアナお嬢様が結婚をする。

……できたら二人の結婚前に死にたい。

好きな人が他の人と結ばれるところなど見て死にたくはなかった。

「ただの使用人だったのに、ね」

私は母の形見の指輪を握る。
母は病気になって、私が一人最期を看取った。でも私は誰にも看取られることはない。罪人としての目を向けられたまま死ぬのだ。

こんな終わり方があるだろうか。本当はもっと生きていたかった。
いつか誰かと結婚して子供を産んでお婆ちゃんになって……天寿を全うしたかった。

私はお母さんの所へいけるのかしら。理由はどうであれ、王子様を欺こうとした偽物。その罪は重いのかもしれない。

行くとしたら地獄ね。ごめんなさい、お母さん。会えそうにもないわ。
ジュアナに身代わりにしたて上げられ、ユアン王子を騙した罪で最期は処刑。死後も母には会えず……。
なんて人生だろう。どうして私がこんな目に…。

でも、もうどうしようもない。何を思ってももうこの事実は変えられないのだ。

私は母の指輪をその指にはめ、そっと胸に抱き寄せた。

「少しだけ夢が見れた。それだけで十分なのよ、エルマ」

ユアン王子との思い出を得られただけで、私は最高に幸せなのだ。

欲を言えば、最後に一目、ユアン王子にお会いしたかった…かな。

ひとり自嘲の笑みが溢れた。