こいつの話を聞いた所で、出てくる言葉は自己弁護のみ。本当の話もしていないし、エルマへの謝罪すらない。
本当に反吐が出そうだ。
ウンザリした俺はコーランに手元の資料を渡す。話す気にもなれないし、ウンザリだった。今すぐこの場で首をはねてやりたい衝動を抑えるだけで精一杯である。
コーランは資料を受け取ると、目の前のジュアナに淡々と調査報告をした。
「報告書によると、あなたは殿下との婚約を嫌がり家に出入りしていた商人を誘惑。王宮から迎えが来る早朝、その商人と駆け落ちをした。身代わりはエルマという自分にソックリな使用人。あなたが居なくなったことを知ったご家族も、エルマと分かっていて保身のために王宮へ献上しましたね」
「で、ですからそれは…!」
「商人と逃げたあなたは、しばらくは自由の身を満喫していた。貴族のあなたにとって商人の生活は珍しくて刺激的だったのでしょう。ところが、普段から豪遊していたあなたは次第に商人の生活が苦痛になってきた。働きたくもないし、節約もしたくない。要は平民の暮らしが嫌になった」
コーランの淡々とした口調は室内に静かに響き渡る。ジュアナは口が挟めず、青い顔で唇を噛んでいた。図星だと言っているようなものだ。
「早々に商人とわかれ、こっそりと実家へ帰ったあなたは身代わりとなったエルマの生活が羨ましくなった。自分はこれからずっと隠れて生活しなければならないのに、今頃エルマは王宮で暮らしているのですからね」
「っ……」
「たとえ相手が冷徹の王子と恐れられる人であっても、よくよく考えれば自分は王子妃になれた。先行くはこの国のお妃になれるの。冷静に考えると、冷徹の王子との結婚は悪くはなかったのだ……と」
だから、こうして名乗り出てきたのだ。
俺との結婚は嫌だが、隠れて一生暮らすのはもっと嫌だった。なにより、この先の一国の王妃と言う身分が欲しくなってきたのだろう。妃になれば好き勝手豪遊できると。
そんな身勝手な理由で、こいつは嘘を並べながらノコノコと現れたのである。どこまでも自分勝手で自己中心。こんなやつが、一国の妃になれるはずがない。いや、したくない。
「これが事実です」
コーランが調査報告を読み終わると、ジュアナは「ち、違います!」と叫んだ。
「そんなのデタラメです!」
「残念ながら事実だ。商人にも証言は取れている。それともお前は、王宮の調査に嘘があるとでも言うのか?」
俺の冷たい声にジュアナは肩を震わせ泣き崩れた。
ここで「そうだ」と言ったら、ジュアナは俺に王宮に歯向かったとされる。どのみち、こいつには道がないのだ。
それすらもわからず、こうして名乗り出たのだからこいつの頭は空っぽなのだな。
つまらない女だ。
「処罰は追って報告する」
「あぁぁーー!! いやぁぁ!!」
ジュアナは顔を大きく歪めて絶叫した。
さすがに、空っぽの頭でも自分が妃として認められなかったこと、何らかの処罰を受けることは理解したのだろう。
見苦しく叫びながら頭を抱えるジュアナを地下へ留置するよう衛兵に指示する。見苦しくてかなわない。すると、この場に参加していた大臣の一人がおずおずと声を上げた。
「お、恐れながら殿下! この者を処罰したとしたら、ご婚約者様はどうなさるのですか? また選び直しでしょうか?」
顔を顰める大臣の言いたいことはわかる。どの貴族も娘を俺の婚約者にはさせたがらず、候補を決めるまで難航したらしいからな。
そこへラニマール家からの申し出だ。喜んで飛びついた相手だったのに、また一から決め直しになる。
すると、その話を聞いたエルマが衛兵に引きづられながら叫んだ。
「そ、そうですわ! エルマは平民で身分が低い! そんな女は王子殿下の妃に相応しくありません! 妃になどなれるはずがない!処罰は私ではなくエルマにすべきです!!」
大臣の発言に半笑いしながら乗っかってくるジュアナ。
「あんな庶民が妃など前代未聞! あり得ないことですわ! 国民に対してもどう説明するのです? 下手したら反対運動がおこるかも!」
水を得た魚のように饒舌になるジュアナは鬱陶しいことこの上なかった。
こいつは本当に何も分かっていない。
「黙れ!」
俺の一言にヒッとジュアナは青ざめて口を閉ざす。
「それには及ばない。なぜならエルマは……」
俺の続く言葉に、その場の誰もが言葉を失った。
本当に反吐が出そうだ。
ウンザリした俺はコーランに手元の資料を渡す。話す気にもなれないし、ウンザリだった。今すぐこの場で首をはねてやりたい衝動を抑えるだけで精一杯である。
コーランは資料を受け取ると、目の前のジュアナに淡々と調査報告をした。
「報告書によると、あなたは殿下との婚約を嫌がり家に出入りしていた商人を誘惑。王宮から迎えが来る早朝、その商人と駆け落ちをした。身代わりはエルマという自分にソックリな使用人。あなたが居なくなったことを知ったご家族も、エルマと分かっていて保身のために王宮へ献上しましたね」
「で、ですからそれは…!」
「商人と逃げたあなたは、しばらくは自由の身を満喫していた。貴族のあなたにとって商人の生活は珍しくて刺激的だったのでしょう。ところが、普段から豪遊していたあなたは次第に商人の生活が苦痛になってきた。働きたくもないし、節約もしたくない。要は平民の暮らしが嫌になった」
コーランの淡々とした口調は室内に静かに響き渡る。ジュアナは口が挟めず、青い顔で唇を噛んでいた。図星だと言っているようなものだ。
「早々に商人とわかれ、こっそりと実家へ帰ったあなたは身代わりとなったエルマの生活が羨ましくなった。自分はこれからずっと隠れて生活しなければならないのに、今頃エルマは王宮で暮らしているのですからね」
「っ……」
「たとえ相手が冷徹の王子と恐れられる人であっても、よくよく考えれば自分は王子妃になれた。先行くはこの国のお妃になれるの。冷静に考えると、冷徹の王子との結婚は悪くはなかったのだ……と」
だから、こうして名乗り出てきたのだ。
俺との結婚は嫌だが、隠れて一生暮らすのはもっと嫌だった。なにより、この先の一国の王妃と言う身分が欲しくなってきたのだろう。妃になれば好き勝手豪遊できると。
そんな身勝手な理由で、こいつは嘘を並べながらノコノコと現れたのである。どこまでも自分勝手で自己中心。こんなやつが、一国の妃になれるはずがない。いや、したくない。
「これが事実です」
コーランが調査報告を読み終わると、ジュアナは「ち、違います!」と叫んだ。
「そんなのデタラメです!」
「残念ながら事実だ。商人にも証言は取れている。それともお前は、王宮の調査に嘘があるとでも言うのか?」
俺の冷たい声にジュアナは肩を震わせ泣き崩れた。
ここで「そうだ」と言ったら、ジュアナは俺に王宮に歯向かったとされる。どのみち、こいつには道がないのだ。
それすらもわからず、こうして名乗り出たのだからこいつの頭は空っぽなのだな。
つまらない女だ。
「処罰は追って報告する」
「あぁぁーー!! いやぁぁ!!」
ジュアナは顔を大きく歪めて絶叫した。
さすがに、空っぽの頭でも自分が妃として認められなかったこと、何らかの処罰を受けることは理解したのだろう。
見苦しく叫びながら頭を抱えるジュアナを地下へ留置するよう衛兵に指示する。見苦しくてかなわない。すると、この場に参加していた大臣の一人がおずおずと声を上げた。
「お、恐れながら殿下! この者を処罰したとしたら、ご婚約者様はどうなさるのですか? また選び直しでしょうか?」
顔を顰める大臣の言いたいことはわかる。どの貴族も娘を俺の婚約者にはさせたがらず、候補を決めるまで難航したらしいからな。
そこへラニマール家からの申し出だ。喜んで飛びついた相手だったのに、また一から決め直しになる。
すると、その話を聞いたエルマが衛兵に引きづられながら叫んだ。
「そ、そうですわ! エルマは平民で身分が低い! そんな女は王子殿下の妃に相応しくありません! 妃になどなれるはずがない!処罰は私ではなくエルマにすべきです!!」
大臣の発言に半笑いしながら乗っかってくるジュアナ。
「あんな庶民が妃など前代未聞! あり得ないことですわ! 国民に対してもどう説明するのです? 下手したら反対運動がおこるかも!」
水を得た魚のように饒舌になるジュアナは鬱陶しいことこの上なかった。
こいつは本当に何も分かっていない。
「黙れ!」
俺の一言にヒッとジュアナは青ざめて口を閉ざす。
「それには及ばない。なぜならエルマは……」
俺の続く言葉に、その場の誰もが言葉を失った。



