お嬢様の代わりに冷徹王子に嫁ぎます

俺を騙そうだなんて100年早い。
陳腐な言い訳に納得するとでも思ったか?

俺はジュアナを睨みつけながら、コーランから預かった封筒から1枚の報告書を取り出した。

「王宮の内偵調査はかなり優秀でな。お前が控え室で喚いている間に調べてくれたよ」
「え……、調べた……?」

実はその前から調査してわかっていたことだが、追加で調べさせていた。
まさかこの短時間で自分のことを探られるとは思わなかったのだろう。ジュアナは見る見る焦りだした。

「ちょ、調査とは一体? まさか、エルマに話を聞いたのですか? そんなの私を嵌めるためにエルマが嘘を……」
「エルマには何も聞いていないし、話してもいない。これは我が国の機関が調べたものだ」

我が国の機関、を強調する。
どこまでもエルマの責任にしようとするジュアナに反吐が出そうだ。

「調査書によると、お前は俺との結婚を心底嫌がっており、どうにか逃げ出す方法を考えていた。その頃、お前は屋敷に出入りしていた商人に目をつけた。言葉巧みに誘惑していたそうだな」

そう指摘するとジュアナは青ざめたまま一度目をつぶり、そして涙を浮かべて話しだした。

「誤解でございます。私はその商人に騙されていたのです。確かに急な婚約話に戸惑ったのは事実です。そこに商人は付け入ってきたのですわ! 王子がどれほど非道で冷徹か! 自分なら私を助けられると! そして、嫌がる私を無理やり連れ出して…!」
「では駆け落ちは認めるのだな?」

先ほどの言い訳から一変して認める発言をしたとジュアナも気がついたのだろう。
ハッとした表情ののち、目を泳がせて項垂れて黙った。

「お前はエルマによって監禁されたのだと言っていたが、今の発言からその商人と家を出た事を認めたことになる。で? 言い分は聞くが?」

こちらは全て調べたと言っているのに、こいつはどこまで嘘を並べるつもりなのだろうか。

今更ながら、話が一転二転していると気がついたか。それとも俺に聞いてもらえる猶予があると思ったのか、ジュアナは青い顔を俺に向けながらも、さらに自己弁護を始めた。

「確かに…先ほどは嘘を申しました。その商人に連れて行かれたことを認めるのは、王子の婚約者として如何なものかと思いましたので…。私は商人に騙され、家から連れ出されました。しかし、命からがら逃げ出してきたのです! もちろん、商人には何もされてはおりません! 清い身体のままですわ! それが事実ですわ!」

事実ねぇ…。本当にこいつは馬鹿だな。もう全て調べは着いていると何度も言っているのに。

俺は冷めた目でジュアナを見た。

「私を信じて下さい! ユアン王子殿下!」

胸元を強調したドレスを着ながら、信じてくれと言われてもな。

俺は深くため息をついた。