俺が冷徹の王子と呼ばれる冷たい目を向けているのに、ジュアナはエルマを悪者に仕立て上げることに夢中でその視線に気が付かない。むしろ、俺がエルマに怒りを覚えているとでも思っているのかもしれなかった。
「使用人が勝手に成りすました……と?」
「えぇ! その通りでございます」
「俺の使者が屋敷へ迎えに言った時、お前の両親はその使用人をジュアナだと言って送り出したそうだが?」
「両親も騙されていたのです。私のドレスを着て化粧を施したエルマは私にそっくりなのですから!」
つまり、両親も全員騙されていたから罪はないと言いたいのか。あくまで悪いのは全てエルマただ一人ということにしたいらしい。
なるほどな。
「では、使者が迎えに行った時、お前はどうしていた? 本来ならお前が出迎えるべきだろう? なぜいなかった?」
淡々と問いかけると、ジュアナは劇役者のように泣きそうな顔をして俺に訴えかけてきた。
「エルマが私を閉じ込めたのでございます! 私を騙し、物置に閉じ込めたのです! なので使者様の元へ行くことができなかったのでございます!」
目に涙を浮かべて、悲劇のヒロインぶるジュアナは滑稽だった。
「なるほど。お前に嫉妬した使用人が当日お前を監禁し、お前に成りすまして俺の元に嫁いできたということか」
「その通りでございます!!」
なんて浅はかでつまらない台本なんだろうか。こいつは役者には向いていないな。
頭の隅でそんなことを考えながら、俺はフッと笑みをこぼした。
ジュアナは目を丸くし、見る見るうちに顔を赤くして俺に見惚れる。俺はそんなジュアナにそのまま笑顔を向けた。
「お前の言い分はよくわかった」
「ユアン王子殿下……」
目がとろんとしたジュアナに、俺は打って変わって笑顔を消し、冷たくきつい目線を送る。その視線を受けて、ジュアナは小さく「え」と声をもらした。
「では一つ聞く。こうして名乗り出てくるまで、半月以上の月日がたっているが、どうして今頃になって出てきたのだ? なぜすぐに自分が本物だと名乗り出なかった?」
「あ……、それは……」
誰もが底冷えするような、低く凍る様な声色にジュアナは目を泳がせて顔色を失っていく。俺が何に怒っているなか、今更気がついたようだ。
「まさか、半月も物置にいたわけではあるまい?」
「た、体調を崩しておりました」
つまらない言い訳だ。俺はあからさまに目の前のジュアナに嫌悪感をあらわにした。
「だったら、文の一つや二つ送れたであろう? ラニマール家から使者を送る手配くらい出来たはずだ」
「そ、それは……」
ジュアナは青白い顔で俯いた。さっきまでの威勢の良さはどこにもない。
その場しのぎの言い訳をするからだ。この俺に対して。
「ジュアナ・ラニマール」
俺の地を這うようや低い声に、ジュアナはビクッと肩を震わせた。
「俺を甘くみるな」
怒りを隠さず、俺は先ほどコーランから預かったある物を取り出した。
「使用人が勝手に成りすました……と?」
「えぇ! その通りでございます」
「俺の使者が屋敷へ迎えに言った時、お前の両親はその使用人をジュアナだと言って送り出したそうだが?」
「両親も騙されていたのです。私のドレスを着て化粧を施したエルマは私にそっくりなのですから!」
つまり、両親も全員騙されていたから罪はないと言いたいのか。あくまで悪いのは全てエルマただ一人ということにしたいらしい。
なるほどな。
「では、使者が迎えに行った時、お前はどうしていた? 本来ならお前が出迎えるべきだろう? なぜいなかった?」
淡々と問いかけると、ジュアナは劇役者のように泣きそうな顔をして俺に訴えかけてきた。
「エルマが私を閉じ込めたのでございます! 私を騙し、物置に閉じ込めたのです! なので使者様の元へ行くことができなかったのでございます!」
目に涙を浮かべて、悲劇のヒロインぶるジュアナは滑稽だった。
「なるほど。お前に嫉妬した使用人が当日お前を監禁し、お前に成りすまして俺の元に嫁いできたということか」
「その通りでございます!!」
なんて浅はかでつまらない台本なんだろうか。こいつは役者には向いていないな。
頭の隅でそんなことを考えながら、俺はフッと笑みをこぼした。
ジュアナは目を丸くし、見る見るうちに顔を赤くして俺に見惚れる。俺はそんなジュアナにそのまま笑顔を向けた。
「お前の言い分はよくわかった」
「ユアン王子殿下……」
目がとろんとしたジュアナに、俺は打って変わって笑顔を消し、冷たくきつい目線を送る。その視線を受けて、ジュアナは小さく「え」と声をもらした。
「では一つ聞く。こうして名乗り出てくるまで、半月以上の月日がたっているが、どうして今頃になって出てきたのだ? なぜすぐに自分が本物だと名乗り出なかった?」
「あ……、それは……」
誰もが底冷えするような、低く凍る様な声色にジュアナは目を泳がせて顔色を失っていく。俺が何に怒っているなか、今更気がついたようだ。
「まさか、半月も物置にいたわけではあるまい?」
「た、体調を崩しておりました」
つまらない言い訳だ。俺はあからさまに目の前のジュアナに嫌悪感をあらわにした。
「だったら、文の一つや二つ送れたであろう? ラニマール家から使者を送る手配くらい出来たはずだ」
「そ、それは……」
ジュアナは青白い顔で俯いた。さっきまでの威勢の良さはどこにもない。
その場しのぎの言い訳をするからだ。この俺に対して。
「ジュアナ・ラニマール」
俺の地を這うようや低い声に、ジュアナはビクッと肩を震わせた。
「俺を甘くみるな」
怒りを隠さず、俺は先ほどコーランから預かったある物を取り出した。



