謁見の間へ行くと、廊下からもわかるほどキンキンとした声が響き渡っている。その不快な声は、謁見の間の隣にある控えの間から聞こえてくる。
「良いから早く王子を連れてきなさい! わたくしが本物のジュアナとわかっているなら、何を手間取っているの!? 私が本物なんだから、早くあの偽物を追い出して頂戴! 王子妃にふさわしいのは正当な貴族の血を引く私よ!? あんな使用人の娘がなっていいものではないわ!」
その言葉を聞いて俺は鼻で笑う。
気品ある貴族の娘ならこんな大声は出さないはずだが?
それくらいに品がない怒鳴り声だ。本来のジュアナの気性はこれなのだろう。エルマとは大違いである。
イライラしながら謁見の間へ行くと、衛兵は慌てて隣の控えの間へ。すると怒鳴り声はピタッとやんだ。
「殿下、失礼致します。件のジュアナ様を名乗る女性が面会を求めております」
「入れ」
俺の冷たい声に衛兵はビクッと肩を揺らすと、すぐにジュアナを呼びに行った。謁見の間に入ってきた本物のジュアナは煌びやかな赤のドレスを身にまとい、厚化粧をして着飾りながら笑顔で入ってきた。
なるほど、これが本物のジュアナか。ジュアナには何度か会ったことはあった。しかし、正直記憶に残っていない。だからこそ、目の前のジュアナは初めて見るような感覚である。
確かにエルマによく似ているが、彼女はこんなきつそうな性悪そうな顔はしていないな。
離れた位置からでもわかるほどの香水の香りに思わず顔をしかめた。しかしそんな俺の様子に気が付きもせずに、ジュアナは促されるまま、面会の定位置とされる場所まで微笑みながらすごすごと歩いてくる。
身代わりを立てたこと等悪びれた様子もなく、堂々としたその歩き方に不快感を覚えた。
さて、どんな言い訳をするのやら……。
聞くのもうんざりだが戻ってきたコーランからある物を受け取ると、俺は冷めた目でジュアナを見返した。
一瞬、ジュアナがハッと青ざめて怯んだのがわかる。しかしすぐに顔をあげて俺に笑顔を向けた。恭しく礼を取ると、勝手に話し出したのである。
「ご無沙汰しております、殿下。ジュアナ・ラニマールでございます」
まるで昔から親しかったかのような言い方に俺は片眉をあげた。
俺は小さくため息をつきながら「発言を許したわけではないが?」と怒りを抑えた低い声で問いかける。基本、俺が発言してからがマナーである。しかしジュアナは焦っていたのだろう。許可もなく自分から話し出してしまったのである。
「も、申し訳ありません」
慌てて謝罪するが、俺もこのやり取りを長引かせるつもりはない。発言を許可すると、ジュアナは嬉しそうに口元をほころばせて語りだした。
「ユアン王子殿下のお気持ちはお察しします。私の偽物を私と思い込んでいらっしゃったのですもの。ユアン王子殿下を騙した女の名は、エルマ・ハルソン。私の家の使用人でございます。昔から私たちは容姿がとても似ており、間違われることがありました。エルマはきっと、ユアン王子に嫁ぐことが決まった私が羨ましかったのでしょう。私に黙って私に成りすましてユアン王子殿下の元へ嫁いだのです」
「ほう……」
ジュアナはエルマが勝手にしたことだということを早口で強調してくる。
「良いから早く王子を連れてきなさい! わたくしが本物のジュアナとわかっているなら、何を手間取っているの!? 私が本物なんだから、早くあの偽物を追い出して頂戴! 王子妃にふさわしいのは正当な貴族の血を引く私よ!? あんな使用人の娘がなっていいものではないわ!」
その言葉を聞いて俺は鼻で笑う。
気品ある貴族の娘ならこんな大声は出さないはずだが?
それくらいに品がない怒鳴り声だ。本来のジュアナの気性はこれなのだろう。エルマとは大違いである。
イライラしながら謁見の間へ行くと、衛兵は慌てて隣の控えの間へ。すると怒鳴り声はピタッとやんだ。
「殿下、失礼致します。件のジュアナ様を名乗る女性が面会を求めております」
「入れ」
俺の冷たい声に衛兵はビクッと肩を揺らすと、すぐにジュアナを呼びに行った。謁見の間に入ってきた本物のジュアナは煌びやかな赤のドレスを身にまとい、厚化粧をして着飾りながら笑顔で入ってきた。
なるほど、これが本物のジュアナか。ジュアナには何度か会ったことはあった。しかし、正直記憶に残っていない。だからこそ、目の前のジュアナは初めて見るような感覚である。
確かにエルマによく似ているが、彼女はこんなきつそうな性悪そうな顔はしていないな。
離れた位置からでもわかるほどの香水の香りに思わず顔をしかめた。しかしそんな俺の様子に気が付きもせずに、ジュアナは促されるまま、面会の定位置とされる場所まで微笑みながらすごすごと歩いてくる。
身代わりを立てたこと等悪びれた様子もなく、堂々としたその歩き方に不快感を覚えた。
さて、どんな言い訳をするのやら……。
聞くのもうんざりだが戻ってきたコーランからある物を受け取ると、俺は冷めた目でジュアナを見返した。
一瞬、ジュアナがハッと青ざめて怯んだのがわかる。しかしすぐに顔をあげて俺に笑顔を向けた。恭しく礼を取ると、勝手に話し出したのである。
「ご無沙汰しております、殿下。ジュアナ・ラニマールでございます」
まるで昔から親しかったかのような言い方に俺は片眉をあげた。
俺は小さくため息をつきながら「発言を許したわけではないが?」と怒りを抑えた低い声で問いかける。基本、俺が発言してからがマナーである。しかしジュアナは焦っていたのだろう。許可もなく自分から話し出してしまったのである。
「も、申し訳ありません」
慌てて謝罪するが、俺もこのやり取りを長引かせるつもりはない。発言を許可すると、ジュアナは嬉しそうに口元をほころばせて語りだした。
「ユアン王子殿下のお気持ちはお察しします。私の偽物を私と思い込んでいらっしゃったのですもの。ユアン王子殿下を騙した女の名は、エルマ・ハルソン。私の家の使用人でございます。昔から私たちは容姿がとても似ており、間違われることがありました。エルマはきっと、ユアン王子に嫁ぐことが決まった私が羨ましかったのでしょう。私に黙って私に成りすましてユアン王子殿下の元へ嫁いだのです」
「ほう……」
ジュアナはエルマが勝手にしたことだということを早口で強調してくる。



