広い庭を抜けて侯爵邸の玄関まで行く。そこで王宮からの使者を待つことになっているのだ。
案の定、ここまで来る間、他の使用人とすれ違ったが誰にも私だと気づかれなかった。
ああ、緊張してきた……。
そっと胸を押さえる。すぐにバレてはいけないとお嬢様に何度も言われていた。きっと近くで見ているだろうから誤魔化しもできない。
「お待たせしまし……」
ジュアナお嬢様になりきって顔をあげると、周囲があわただしいことに気が付いた。
使用人、旦那様、奥様、ジュアナお嬢様の二人の兄までもが血相を変えて走り回っているではないか。
何かあったの……?
キョトンと立ち尽くしていると旦那様と目が合った。
「ジュアナ!! あぁ、良かった! いたんだな!」
そう言いながら駆け寄ってくる旦那様は、目の前まで来てハッとしたように足を止めた。
「ジュアナ?」
旦那様は怪訝な顔をした。
あぁ、もうだめだ。この距離で見られたらお嬢様でないことがばれてしまう。申し訳ありません、ジュアナお嬢様。
心の中で謝罪をし、私はお嬢様からの叱責を覚悟して顔を上げた。目が合った旦那様はグッと眉を寄せる。
「ジュアナじゃないな。お前はエルマか?」
厳しい顔に私は深く頭を下げた。
「旦那様、申し訳ありません! この格好には訳がありまして……」
「どういうことだ!? なんでお前がそんな格好をしている!?」
怒鳴る旦那様に首をすくめて俯いた。
「お嬢様に言われました……」
「何!? ジュアナがお前に頼んだのか? いつ? なんと? あの子は何か言っていたか!?」
旦那様の気迫に思わず後ずさりする。こちらの様子に気が付いた奥様や二人の兄までもが険しい顔で駆け寄ってきた。
え、なに? みんなどうしたの?
どういうことかわからないまま、私はしどろもどろで白状した。
「き、昨日ジュアナお嬢様に、王宮の使者様を驚かせたいから入れ替わるようにと言われて……。使者様が驚いている時にお嬢様が後から登場するからと言われました」
話している途中から、旦那様の顔色が青くなる。周囲の雰囲気がただ事ではなかった。
私は理由を話しながら周囲を見渡した。
きっとジュアナお嬢様はばれてしまったことに憤慨しながら出てくるだろう。使者が来るまでの間に折檻だろうか。そう思ったが、どこを見渡してもジュアナお嬢様の姿は見えなかった。
「お嬢様、どこに隠れて……」
入れ替わりが周囲にばれたのだからもう出てきてほしい。しかし出てくる気配は全くない。
すると旦那様は小さく舌打ちをした。
「ジュアナはいない」
「え?」
「今朝、机の上に手紙が置いてあった。あいつは出て行ったんだ!」
旦那様はスーツの胸ポケットから手紙を出して私に見せた。
案の定、ここまで来る間、他の使用人とすれ違ったが誰にも私だと気づかれなかった。
ああ、緊張してきた……。
そっと胸を押さえる。すぐにバレてはいけないとお嬢様に何度も言われていた。きっと近くで見ているだろうから誤魔化しもできない。
「お待たせしまし……」
ジュアナお嬢様になりきって顔をあげると、周囲があわただしいことに気が付いた。
使用人、旦那様、奥様、ジュアナお嬢様の二人の兄までもが血相を変えて走り回っているではないか。
何かあったの……?
キョトンと立ち尽くしていると旦那様と目が合った。
「ジュアナ!! あぁ、良かった! いたんだな!」
そう言いながら駆け寄ってくる旦那様は、目の前まで来てハッとしたように足を止めた。
「ジュアナ?」
旦那様は怪訝な顔をした。
あぁ、もうだめだ。この距離で見られたらお嬢様でないことがばれてしまう。申し訳ありません、ジュアナお嬢様。
心の中で謝罪をし、私はお嬢様からの叱責を覚悟して顔を上げた。目が合った旦那様はグッと眉を寄せる。
「ジュアナじゃないな。お前はエルマか?」
厳しい顔に私は深く頭を下げた。
「旦那様、申し訳ありません! この格好には訳がありまして……」
「どういうことだ!? なんでお前がそんな格好をしている!?」
怒鳴る旦那様に首をすくめて俯いた。
「お嬢様に言われました……」
「何!? ジュアナがお前に頼んだのか? いつ? なんと? あの子は何か言っていたか!?」
旦那様の気迫に思わず後ずさりする。こちらの様子に気が付いた奥様や二人の兄までもが険しい顔で駆け寄ってきた。
え、なに? みんなどうしたの?
どういうことかわからないまま、私はしどろもどろで白状した。
「き、昨日ジュアナお嬢様に、王宮の使者様を驚かせたいから入れ替わるようにと言われて……。使者様が驚いている時にお嬢様が後から登場するからと言われました」
話している途中から、旦那様の顔色が青くなる。周囲の雰囲気がただ事ではなかった。
私は理由を話しながら周囲を見渡した。
きっとジュアナお嬢様はばれてしまったことに憤慨しながら出てくるだろう。使者が来るまでの間に折檻だろうか。そう思ったが、どこを見渡してもジュアナお嬢様の姿は見えなかった。
「お嬢様、どこに隠れて……」
入れ替わりが周囲にばれたのだからもう出てきてほしい。しかし出てくる気配は全くない。
すると旦那様は小さく舌打ちをした。
「ジュアナはいない」
「え?」
「今朝、机の上に手紙が置いてあった。あいつは出て行ったんだ!」
旦那様はスーツの胸ポケットから手紙を出して私に見せた。



