お嬢様の代わりに冷徹王子に嫁ぎます

一人になった部屋で、私はそのままソファーに倒れ込む。

「……何あれ」

それしか出てこない。

ユアン王子が微笑んだ、甘い声を出した、頬に触れた……、私をあんなに優しい目で見つめてきた。今までだってユアン王子の気遣いを感じる場面はあった。でもこんなに露骨に変わることはなかった。

別人としか思えない。、いや、もしかしたら他に思惑が……?

考えたいのに、私の心臓が早鐘を打って思考の邪魔をする。

どうしてこんなにドキドキするの? 頬が熱くなるの? 頭の中がユアン王子でいっぱいで胸が苦しい。

「どうしよう……」

心がユアン王子で一杯になってしまう。綺麗な瞳に吸い込まれそうだった……。あのまま、コーラン様が来なかったらどうなっていたのかしら……。

そう考えて、ハッとした。そういえばあの時、ユアン王子は何かを呟いた。

「……エルマって言った?」

低い声でそう呟いた気がした。